著者
本田 和也 森塚 倫也 伊藤 健大 松尾 彩香 日宇 健 川原 一郎 小野 智憲 原口 渉 牛島 隆二郎 堤 圭介
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10802, (Released:2020-08-31)
参考文献数
40

要旨:日本における脳卒中診療は,患者数増加・高齢化等,多様な問題に直面しており,専門医不足に伴う過重労働や燃え尽き症候群が危惧されている.医師以外の人的資源を有効活用した診療システムが必要であり,高度実践看護の能力を持つ nurse practitioner(NP)はこの診療分野に貢献し得る.NPは医師の指導・協働下に,専門性の高い特定行為や医師業務の代行が可能であり,脳卒中チーム内の多職種ならびに患者・家族間をコーディネートする中核的存在としても活躍している.米国ではすでに半世紀前より,医師の過重労働を予防・緩和する解決策のひとつとして,NP制度が多方面の医療現場で積極的に導入されてきた.NPの能力・技量や果たし得る業務の可能性は,未だ医師の間で十分に認識されている状況ではない.日本版NPは,今後の本邦脳卒中診療システムを改革する医療職として期待される存在である.
著者
川原 一郎 小川 由夏 塩崎 絵理 原口 渉
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.11097, (Released:2023-02-15)
参考文献数
39
被引用文献数
2

舌骨は,他骨との連続性を持たず,軟部組織を介した状態の極めて特異な解剖学的な特徴を有しており,日常生活においても,位置的変化を呈する可動性を持った骨構造物である.過長した舌骨やその偏位によって,頸動脈に何らかの影響を及ぼすことも知られており,舌骨に関連した血管障害の報告は散見されるが,いまだ認知度は低く,その病態を周知させることは重要であると考えられる.3D-CTAでは,舌骨と頸動脈との決定的な解剖学的異常所見を捉えるのに有用であり,隣接,接触,圧迫,あるいは絞扼の状態を時に経験し,その解剖学的異常は脳血管障害発症の危険因子と考えられる.茎状突起から甲状軟骨まで含めた,いわゆるstylohyoid-thyroid chain複合体において,舌骨は中心的役割を果たしており,内頸動脈の走行異常を呈する症例やESUS症例においては,常に舌骨関与の可能性の有無も念頭に置き,精査する必要がある.
著者
川原 一郎 浜田 智弘 金 秀樹 高橋 進也 高田 訓 大野 敬 小板橋 勉 三科 正見
雑誌
奥羽大学歯学誌 (ISSN:09162313)
巻号頁・発行日
vol.38巻, no.4号, pp.219-223, 2011-12

68歳男。口底部の腫瘤を指摘され、精査・加療目的に受診した。口底部に境界不明瞭な腫瘤を認めた。パノラマX線写真では、下顎前歯部に骨吸収を認めた。CT、MRIでは、口底部に境界不明瞭な病変を認めた。PET-CTでは、口底部に集積を認めた。臨床診断は口底部悪性腫瘍であった。腫瘤部より生検を施行し、扁平上皮癌の病理組織学的診断により、全身麻酔下に両側上頸部郭清術、下顎骨辺縁切除術、腫瘍切除術、植皮術を施行した。術後は、疼痛管理目的にNSAIDsの錠剤を粉砕して胃管より投与した。術後12日、突然の大量下血とともに意識消失した。上部消化管内視鏡検査にて胃体上部後壁に血管露出を伴う潰瘍を認めた。出血性消化性潰瘍の診断のもと、エタノール局注による内視鏡的止血治療を施行した。止血後はランソプラゾールおよびクエン酸第一鉄ナトリウムの投与を開始した。その後再出血することなく、術後35日目、経過良好で退院した。
著者
川原 一郎 金 秀樹 浜田 智弘 馬庭 暁人 河西 敬子 菅野 勝也 高田 訓 大野 敬
雑誌
奥羽大学歯学誌 (ISSN:09162313)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.139-142, 2011-09

診療タイムカードの有用性について検討した。患者のべ6860例を対象とした。診療タイムカードおよびタイムレコーダーを用い、患者が口腔外科外来を受診したら、まず受付担当者が受付時間を診療タイムカードに記録した。次に担当医が診療開始時に診療開始時間、診療終了時に診療終了時間を記録した。待ち時間15分以上の割合はタイムカード導入初期の2003年9月から11月に比べ、12月以降は減少傾向であった。しかし、2004年4月以降は増加傾向であった。平均診療時間は28分から44分であった。診療時間2時間以上の割合は平均約6%であった。待ち時間に対する意識や待ち時間の短縮については、「思う」と回答した医局員は、意識では64%、短縮では36%であった。診療時間に対する意識や診療時間の短縮については、「思う」と回答した医局員は、意識では36%、短縮では9%であった。