著者
今野 怜 村上 速雄 松尾 武芳
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.65-76, 2013
被引用文献数
1

シマゴマ,ムジセッカ,カラフトムジセッカを繁殖地であるサハリンで捕獲し,その形態的特徴について詳しく調べた.シマゴマの幼羽では体上面の広い範囲に淡色の軸斑があった.ムジセッカとカラフトムジセッカの幼羽では,ともに体上面は褐色,体下面はより淡い色で,前者は体上面と体下面ともに灰色みがあり,後者では体上面にはオリーブ色み,体下面には黄色みがあった.3種とも成鳥の繁殖後換羽は完全換羽,幼鳥の幼羽後換羽は部分換羽であった.幼鳥の自然翼長の平均値はシマゴマ 66.0 mm,ムジセッカ 58.7 mm,カラフトムジセッカ 60.0 mmであった.シマゴマは羽衣を問わず大きさと尾羽の色で同所的に生息する小型ツグミ類と識別できた.ムジセッカとカラフトムジセッカは翼帯を欠く点でサハリンや日本で繁殖する他のメボソムシクイ属の種と異なっていた.この2種は互いによく似ているが,識別には嘴の形,脚の太さと色,眼の大きさが役立つであろう.
著者
藤巻 裕蔵 松尾 武芳 NECHAEV V. A.
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 自然科学 (ISSN:09193359)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.231-242, 1996-06-26
被引用文献数
1

1994年6月21日〜7月3日にサハリン中・南部の主要な陸上環境における繁殖期の鳥類の生息状況について調査した。調査期間中に104種の鳥類を記録した。各環境における主要種は,常緑針葉樹林では,ルリビタキ,シマゴマ,カラフトムシクイ,キクイタダキ,コガラ,ヒガラ,マヒワなど,カラマツ林では,ビンズイ,ノゴマ,カラフトムシクイ,コガラ,ヒガラ,マヒワ,カシラダカなど,落葉広葉樹林では,ビンズイ,シマゴマ,ノゴマ,コルリ,キビタキ,カラフトムシクイ,シジュウカラ,ゴジュウカラ,アオジなど,潅木草原や草原では,ヒバリ,ツメナガセキレイ,ノゴマ,シマセンニュウ,マキノセンニュウ,コヨシキリ,ムジセッカ,アオジ,シマアオジ,オオジュリンなどであった。このほか,河川沿い,湖,海岸など水域では,アビ,アカエリカイツブリ,カモ類,シギ・チドリ類,カモメ類,アジサシ類が観察された。