著者
今野 怜 今野 美和 佐藤 文男
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-27, 2018-08-31 (Released:2019-08-31)
参考文献数
24
被引用文献数
1

To facilitate the accurate description of plumage of the Short-tailed Albatross Phoebastria albatrus, we classified plumage into eight components, based on photos taken at a breeding colony on Torishima, Izu Islands. Plumage components of 20 individuals just before fledging and 729 individuals of known sex and ranging in age from 2 to 26 years were scored. The plumage color became more whitish with age. The underbody plumage became white earlier than the upper body, whereas on the thigh, tibia and a posterior part of undertail coverts, dark brown feathers remained even in older age. The upper body turned white from the uppertail coverts towards the front, whereas dark brown feathers remained on the mantle, scapulars and nape, even in older age. The upperwing and underwing were often the same score. The progress of the score was earlier for males than for females. At every age from 3 to 18 years, the summed score of seven components (the underwing score was excluded) was significantly different between sexes, although older age males and females could be considered to have the same score. Individuals with a dark brown mantle, scapulars, rump and uppertail coverts were of age of 5 or less years and had not yet bred, except for a few females. Many individuals started breeding after they had a white part on the rump and uppertail coverts. Males reached final plumage pattern at the age of 8 to 15 years, while females reached final plumage pattern at the age of 11 to 20 years or older.
著者
植田 睦之 岩本 富雄 中村 豊 川崎 慎二 今野 怜 佐藤 重穂 高 美喜男 高嶋 敦史 滝沢 和彦 沼野 正博 原田 修 平野 敏明 堀田 昌伸 三上 かつら 柳田 和美 松井 理生 荒木田 義隆 才木 道雄 雪本 晋資
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.F3-F11, 2014-10-01 (Released:2014-10-15)
参考文献数
29

2009年から2013年まで,全国21か所の森林で繁殖期の鳥類の個体数変化についてモニタリングを行なった.98種の鳥が記録され,そのうち10地点以上で記録された25種を対象に解析を行なったところ,薮を生息地とするウグイスとコルリが減少しており,キビタキが増加していた.ウグイスとコルリはシカの植生への影響が顕著な場所で個体数が少なく,シカによる下層植生の減少がこれらの種の減少につながっていることが示唆された.しかし,シカの影響が顕著でない場所でも減少傾向にあり,今後のモニタリングにより減少の原因のさらなる検討が必要である.
著者
今野 怜 村上 速雄 松尾 武芳
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.65-76, 2013
被引用文献数
1

シマゴマ,ムジセッカ,カラフトムジセッカを繁殖地であるサハリンで捕獲し,その形態的特徴について詳しく調べた.シマゴマの幼羽では体上面の広い範囲に淡色の軸斑があった.ムジセッカとカラフトムジセッカの幼羽では,ともに体上面は褐色,体下面はより淡い色で,前者は体上面と体下面ともに灰色みがあり,後者では体上面にはオリーブ色み,体下面には黄色みがあった.3種とも成鳥の繁殖後換羽は完全換羽,幼鳥の幼羽後換羽は部分換羽であった.幼鳥の自然翼長の平均値はシマゴマ 66.0 mm,ムジセッカ 58.7 mm,カラフトムジセッカ 60.0 mmであった.シマゴマは羽衣を問わず大きさと尾羽の色で同所的に生息する小型ツグミ類と識別できた.ムジセッカとカラフトムジセッカは翼帯を欠く点でサハリンや日本で繁殖する他のメボソムシクイ属の種と異なっていた.この2種は互いによく似ているが,識別には嘴の形,脚の太さと色,眼の大きさが役立つであろう.
著者
今野 怜 今野 美和
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1_2, pp.21-35, 2020-12-31 (Released:2021-10-01)
参考文献数
17

マミチャジナイTurdus obscurus 29個体,シロハラT. pallidus 39個体,アカハラT. chrysolaus 79個体,アカコッコT. celaenops 16個体の翼式の要素(初列風切最長羽,p9の位置,初列風切の間隙,外弁欠刻)を比較した.4種の各要素は有意に異なっており,渡る距離が長い種ほど翼の形状が尖っていた.初列風切の間隙の見た目はマミチャジナイ・アカコッコとシロハラ・アカハラに大別された.アカコッコは間隙を形成する羽毛が独特で外弁欠刻はより近位にあると推察されたこと,マミチャジナイの外弁欠刻はより遠位にあったこととあわせ,翼式は4種の識別に有効であった.
著者
今野 怜 藤巻 裕蔵
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 自然科学 (ISSN:09193359)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.125-133, 2001-10

1999年4〜7月に利尻山において各植生帯ごとの鳥類の種構成,各種の相対的多さや垂直分布について調査した.植生帯はエゾマッートドマツ帯,ダケカンバ帯,ハイマツ帯にわけられ,それぞれ46,21,16種の鳥類が記録された.これらのうち,主要種(相対優占度が2%以上の種)は,エゾマッートドマツ帯ではミソサザイ,コマドリ,ウグイス,エゾムシクイ,キクイタダキ,ハシブトガラ,ヒガラ,アオジ,クロジ,マヒワ,イスカ,ナキイスカ,ウソ,ダケカンバ帯ではカヤクグリ,コマドリ,ノゴマ,ルリビタキ,ウグイス,エゾセンニュウ,アオジ,クロジ,マヒワ,ギンザンマシコ,ウソ,ハイマツ帯ではアマツバメ,カヤクグリ,コマドリ,ノゴマ,ルリビタキ,ウグイス,アオジ,クロジ,ギンザンマシコ,ウソであった.垂直分布についてみると,北海道本島の山地と比べて全体に分布する標高が低くなっていた。