著者
小田谷 嘉弥 新條 正志 先崎 理之
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1_2, pp.10-21, 2019-12-31 (Released:2021-05-14)
参考文献数
18

2017年10月から2018年12月にかけて,千葉県の農地においてコシギLymnocryptes minimus 3羽を発見し,捕獲した.3羽のうち1羽は第一回冬羽で,2羽は成鳥であった.標識個体を継続観察した結果,2羽の成鳥は少なくとも2017年12月から2018年2月まで同一の場所に滞在し,そのうち1羽は2018年10月に同一の場所に帰還したことを確認した.これらの3例は本種の日本国内における標識放鳥の第2~第4記録にあたり,成鳥の2例は,国内における初の確実な越冬記録である.
著者
齋藤 武馬 茂田 良光 上田 恵介
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.45-61, 2014 (Released:2015-12-18)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

メボソムシクイPhylloscopus borealis (Blasius 1858) は,これまで多くの研究者によって複数の亜種を含む多形種とされてきたが,近年分類が見直され,3つの独立種に分割された.すなわち,コムシクイPhylloscoups borealis,オオムシクイ P. examinandus,メボソムシクイ P. xanthodryasである.この3種は,DNAの配列と音声形質には明瞭な違いがあるが,形態形質についてはその差異が僅かなため,野外においてはしばしば種の識別が困難な場合が多い.これまで,繁殖雄については著者らによって開発された判別分析を用いた判別法があったが,雌を含めた種の判別方法は確立されていなかった.本論文では計測値を用いて,メボソムシクイ上種3種を雌雄にかかわらず識別する方法を解説する.この識別方法が,野外,特に標識調査においてメボソムシクイ上種の識別マニュアルとして役に立つことを願う.

12 0 0 0 OA 鳥体外部の名称

著者
茂田 良光 佐野 裕彦
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.56-69, 1986 (Released:2015-02-05)
参考文献数
23
被引用文献数
1

In the present paper we briefly reviewed and commented the terminology for bird topography, especially wing and tail. We named here newly required Japanese terms, such as alula coverts and carpal covert, and also illustra-ted some of them. Terms for bird topography are given, which including new Japanese ones indicated by asterisk (*) in table 1.
著者
田中 正彦 三上 かつら
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.39-46, 2017 (Released:2018-07-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

2016年9月12日,北海道亀田郡七飯町藤城にてスゲヨシキリ Acrocephalus schoenobaenus 1羽が捕獲された.本種の標識記録としては日本で初めて,確認記録としては日本で2例目である.環境は休耕田で,コヨシキリの群れと行動をともにしていた.当該個体は標識・計測を行った後,性不明幼鳥として放鳥した.
著者
深井 宣男
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.25-31, 2017 (Released:2018-07-25)
参考文献数
11

オオコノハズクOtus lempiji の齢の識別について論じた.栃木県内での鳥類標識調査で捕獲された個体の写真を用いて羽衣を比較した結果,風切や尾羽,初列大雨覆の色彩と長さなどで齢を識別できる可能性が高いことがわかった.すなわち,風切や尾羽は,幼鳥では幅が狭く先細りする形状であるのに対し,成鳥では幅が広く先端は丸い形状であった.また,第一回冬羽の幼鳥では初列大雨覆が淡色で,次列大雨覆の先端より短いのに対し,成鳥では暗色で,次列大雨覆の先端と同程度までの長さがあった.幼鳥は,秋にこれらの羽を換羽しないため,生まれた翌年の繁殖期までは齢の識別が可能だと考えられた.
著者
風間 辰夫 土田 崇重
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.80-106, 2018-12-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
26

本稿では,日本産鳥類308種,外国産鳥類201種について調べたので,ここに報告する.尾羽枚数は生体および剥製,入手した死体から数えた.
著者
澤 祐介 佐藤 達夫 池内 俊雄 Vladimir Pozdnyakov
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1_2, pp.65-72, 2019-12-31 (Released:2021-05-14)
参考文献数
12

2016年7月にロシア・レナデルタの北東部においてコクガンの標識調査を実施した.調査期間を通し合計で63個のコクガンの巣を確認し,21羽のメスを捕獲し,黄色のカラーリングを装着した.本論文では,コクガンのコロニーの特徴,クラッチサイズ,卵の大きさ,コクガンの外部計測値について報告する.加えて,今回標識した個体のうち1羽が2016年12月にアメリカ・カリフォルニアのハンボルトベイで回収された記録を報告する.
著者
澤 祐介 佐藤 達夫 池内 俊雄 Vladimir Pozdnyakov
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1_2, pp.53-64, 2019-12-31 (Released:2021-05-14)
参考文献数
19
被引用文献数
2

2016年6月下旬から7月上旬の繁殖期にかけて,ロシア・レナデルタにおいてシギ・チドリ類の標識調査を実施した.調査期間中,合計35種の鳥類が観察され,そのうち18種が繁殖していることが確認された.そのうち6種32羽のシギ・チドリ類を捕獲,標識した.本論文では,シギ・チドリ類の営巣環境と標識した個体の外部計測値について報告する.
著者
蛯名 純一 三上 かつら
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1_2, pp.1-9, 2019-12-31 (Released:2021-05-14)
参考文献数
14

青森県下北半島において,2017/2018年の冬から春にかけて,2タイプの声をもつイスカが一つの林に同居していた.片方は通年生息し,繁殖もしている下北個体群のイスカ,もう片方は越冬に訪れた繁殖地不明のイスカである.在来集団については2006年以降標識調査を行っており,計測値を蓄積してきた.今回越冬集団と在来集団について計測値を比較したところ,翼長,尾長,ふしょ長は両者で重複が大きかったが,嘴峰長と体重は偏りがみられた.判別分析でも嘴峰長と体重が寄与しており,在来集団は相対的に嘴が短く体重が軽い,越冬集団は嘴が長く体重が重いという特徴があった.嘴峰長の違いはおそらく繁殖地で多く利用している餌資源の違いを反映しているだろう.越冬集団の重い体重は渡り前に体重を増加させていたためかもしれない.
著者
藤巻 裕蔵
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.26-28, 2011 (Released:2012-11-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

This paper suggests new Japanese common names for two bird species. The current names reflect a misunderstanding of distribution and habitat. The current Japanese name for the Pale-legged warbler Phylloscopus tenellipes is uisuri-mushikui, which means the ‘Ussuli warbler’. Given that this species breeds over a much wider area than just the Ussuri River, the name should be changed to amuru-mushikui or ‘Amur warbler’. The current Japanese name for the Blyth's Reed Warbler Acrocephalus dumetorum is shiberia-yoshikiri or ‘Siberian reed warbler’. This species, however, is distributed widely across the Eurasian continent. This paper proposes that the Japanese name be changed to yabu-yoshikiri or ‘thicket reed warbler’ to reflect the original meaning of the formal species name.
著者
桑原 和之 小島 紀行
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.53-59, 1993 (Released:2015-08-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1

Red-necked Phalarope Phalaropus lobatus is a common spring and autumn migrant along the Japanese coast, and is also occasionally seen in small flocks inland. At about 9:00 PM on the night of September 13th, 1993, a flock of 100 Red-necked Phalarope strayed into Okoppe-cho Baseball Stadium (Monbetsu County, Eastern Hokkaido -44°28′N, 143°08′E). Presumably these birds had been attracted by the bright stadium lights (similar incidents have been recorded in the past for this species, but not during the last 20 years). The birds flew around the stadium, sometimes landing for brief intervals, for about 30 minutes before departing. Some of the birds crashed into the standium fence and were killed or injured. 6 of these were recovered as specimens to be measured and analyzed at the Natural History Museum and Institute. Chiba (specimen No. CBMZB1775-CBMZB1780). All of the recovered specimens were juveniles which had not yet molted into the 1st winter plumage. All specimens showed pale cream coloration from throat to breast, and diagnostic dark brown markings on the tertials. Juvenile feathers also remained on the mantle and wing-coverts. Observations at the stadium confirmed that no adults were present in the flock. Large flocks of Red-necked Phalarope, numbering from 1000-3600 individuals, are frequently observed during the spring migration period. These large flocks, however, are composed of adults, and flocks, however, are composed of adults, and flocks of juveniles number only in the low one-hundreds. This indicates that adults and juveniles migrate separately in spring. The data discussed here supports the contention that juveniles and adults also migrate separately in autumn, with juveniles leaving the breeding grounds later than adults. Unfortunately, age-composition data is not available for earlier incidents.
著者
大倉 史雄
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.47-51, 2017 (Released:2018-07-25)
参考文献数
13

北海道小樽市銭函の海岸草地にて,2014年7~8月,2015年7~8月の期間にオオヨシゴイの繁殖行動を観察した.2015年には8月10日に踏査をして幼鳥1羽を捕獲して標識放鳥した.測定値は全長290 mm,露出嘴峰36.5 mm,跗蹠長41.5 mm,翼開長480 mm,自然翼長109.2 mm,最大翼長120.0 mm,体重約110 gであった.
著者
真野 徹
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.22-30, 2009 (Released:2013-10-23)
参考文献数
13

鹿児島県,沖縄県,東京都,愛知県,福岡県のツバメの標識調査からツバメの換羽についてまとめた.鹿児島県では8月下旬から9月上旬に,沖縄県では9月中旬から下旬に,また,補助的に東京都にて8月上旬に,愛知県と福岡県で7月中旬に調査を行った.捕獲された大多数のツバメの換羽の状態を調べた.ヨーロッパと日本のツバメの換羽個体の割合の違いを考慮し,渡る距離によって換羽の時期に変化が起こる可能性を示した.これらの換羽中の個体には新たな換羽を休止した個体が確認された.その割合は,7月中旬で0%,8月上旬の東京都で7.1%,8月下旬から9月上旬の鹿児島県で44.6%,9月中下旬の沖縄県で70.4%であった.ヨーロッパと日本の換羽休止状態の割合の違いを示す事によって,飛翔力の低下と渡りの危険を抑えるために,海上を渡る日本のツバメが換羽休止を発達させた可能性を論じた.捕獲された幼鳥の中には,前年生まれで成鳥羽への換羽が終了しない個体が含まれている可能性が示唆された.
著者
藤井 幹 丸岡 禮治
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.39-42, 2008 (Released:2013-10-23)
参考文献数
4

コマドリErithacus akahigeの一亜種であるタネコマドリE. a. tanensisは,屋久島,種子島,神津島,三宅島,八丈島に分布し,本土に分布する亜種コマドリE. a. akahigeとは区別される (日本鳥学会 2000).本亜種は神奈川県では過去に記録されていない (日本野鳥の会神奈川支部 2002).筆者らは,神奈川県で鳥類標識調査中に本亜種を捕獲し標識したので,詳細を報告する.
著者
深井 宣男
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.31-37, 2004 (Released:2015-08-20)
参考文献数
5

標識放鳥,死体拾得,保護飼育されたヨタカ6個体をもとに,春季における齢の識別点と換羽様式について検討した.春季には成鳥も幼鳥も同様に,初列大雨覆と尾羽に新羽と旧羽が混在するが,幼鳥では旧羽が幼羽であり,旧羽も成鳥羽である成鳥と容易に識別できることがわかった.また,秋と春の換羽状況から,本種の換羽様式は,繁殖地と越冬地で風切と尾羽の一部ずつを換羽する,変則的なものであると考えられる.
著者
岡久 雄二 小西 広視 高木 憲太郎 森本 元
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.12-18, 2011 (Released:2012-11-25)
参考文献数
11

キビタキFicedula narcissinaの雄について,外部形態に基づく齢査定の方法を検討した.第1回夏羽の個体は第2回夏羽以降の個体よりも自然翼長,尾長とも短かったが計測値は重複が大きかった.また,脛羽の色は第1回夏羽,第2回夏羽,それ以降の第3回夏羽以降の3群でそれぞれ異なっており,第1回夏羽では淡褐色,第2回夏羽では灰黒色の羽が疎らに生え,それ以降の第3回夏羽以降では純黒色の羽が密に生えていた.さらに,虹彩の色は第1回夏羽では灰褐色,第2回夏羽では褐色であり,第3回夏羽以降の個体の多くは赤褐色であった.これらより,キビタキの雄の齢は脛羽と虹彩の色によって第1回夏羽,第2回夏羽,第3回夏羽以降の3群に識別することができると考えられた.
著者
Philip D. ROUND Andrew J. PIERCE Takema SAITOH Yoshimitsu SHIGETA
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.9-21, 2016 (Released:2016-10-05)
参考文献数
20
被引用文献数
3

いくつかのムシクイ属Phylloscopusの種の非繁殖期の分布域があまり分かっていないのは,野外における種同定が難しいことがその一因である.私達は,オオムシクイPhylloscopus examinandus 5個体とエゾムシクイP. borealoides 12個体に基づく新たな記録を確認し,タイの鳥類相に加えることができた.すべてのオオムシクイの個体は,北方への春の渡り時期において捕獲・標識され,エゾムシクイの記録は,秋と春の両方の渡り時期であった.それらの種の同定は,ミトコンドリアDNA内のチトクロームcオキシダーゼサブユニットI(COI)遺伝子(約700塩基対)を用いて,確立された分析方法によって行われた.さらに,これらの種の計測データと共に,両種の姉妹種である,コムシクイP. borealisとアムールムシクイP. tenellipesの計測値についても示した.このことから,オオムシクイとエゾムシクイの両種が主に,スンダ亜区で越冬していることが明らかとなった.
著者
深井 宣男
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1_2, pp.50-56, 2010 (Released:2012-09-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1

カムチャツカで実施された日露共同標識調査で捕獲されたアカマシコについて,亜種アカマシコの換羽様式と,雌型個体の羽色における二型について論じた.ヨーロッパの基亜種では,成鳥は繁殖地では換羽せず,越冬地で完全換羽をおこなう.しかし,カムチャツカで繁殖する亜種アカマシコの成鳥には,基亜種同様に繁殖地では換羽せずに渡りを開始する個体と,繁殖地で完全換羽する個体がいることがわかった.また,雌と同じ羽色の成鳥と幼鳥には,風切や尾羽などの羽縁の色に,オリーブ色と赤色の二型があることがわかった.このうち,赤色型の個体は,雄・幼鳥または発色の悪い雄・成鳥の可能性がありうる.
著者
岡久 雄二 小西 広視 高木 憲太郎 森本 元
出版者
The Japanese Bird Banding Association
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.12-18, 2011

キビタキ<i>Ficedula narcissina</i>の雄について,外部形態に基づく齢査定の方法を検討した.第1回夏羽の個体は第2回夏羽以降の個体よりも自然翼長,尾長とも短かったが計測値は重複が大きかった.また,脛羽の色は第1回夏羽,第2回夏羽,それ以降の第3回夏羽以降の3群でそれぞれ異なっており,第1回夏羽では淡褐色,第2回夏羽では灰黒色の羽が疎らに生え,それ以降の第3回夏羽以降では純黒色の羽が密に生えていた.さらに,虹彩の色は第1回夏羽では灰褐色,第2回夏羽では褐色であり,第3回夏羽以降の個体の多くは赤褐色であった.これらより,キビタキの雄の齢は脛羽と虹彩の色によって第1回夏羽,第2回夏羽,第3回夏羽以降の3群に識別することができると考えられた.
著者
今野 怜 村上 速雄 松尾 武芳
出版者
日本鳥類標識協会
雑誌
日本鳥類標識協会誌 (ISSN:09144307)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.65-76, 2013
被引用文献数
1

シマゴマ,ムジセッカ,カラフトムジセッカを繁殖地であるサハリンで捕獲し,その形態的特徴について詳しく調べた.シマゴマの幼羽では体上面の広い範囲に淡色の軸斑があった.ムジセッカとカラフトムジセッカの幼羽では,ともに体上面は褐色,体下面はより淡い色で,前者は体上面と体下面ともに灰色みがあり,後者では体上面にはオリーブ色み,体下面には黄色みがあった.3種とも成鳥の繁殖後換羽は完全換羽,幼鳥の幼羽後換羽は部分換羽であった.幼鳥の自然翼長の平均値はシマゴマ 66.0 mm,ムジセッカ 58.7 mm,カラフトムジセッカ 60.0 mmであった.シマゴマは羽衣を問わず大きさと尾羽の色で同所的に生息する小型ツグミ類と識別できた.ムジセッカとカラフトムジセッカは翼帯を欠く点でサハリンや日本で繁殖する他のメボソムシクイ属の種と異なっていた.この2種は互いによく似ているが,識別には嘴の形,脚の太さと色,眼の大きさが役立つであろう.