著者
松岡 昌子 田中 美加
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.595-605, 2022-08-15 (Released:2022-08-04)
参考文献数
51

目的 患者ケアの質の向上や看護師の心身の健康,離職意思の低下などとの関連が示されているワーク・エンゲイジメントは,組織公平性との関連が示唆されている。そこで本研究においては看護師における主観的な組織公平性とワーク・エンゲイジメントとの関連を明らかにすることを目的とする。方法 首都圏内にある中規模病院に勤務する日本人看護師を対象とし,無記名の自記式質問票を使用したアンケート調査を行った。解析では日本語版ユトレヒト・ワークエンゲイジメント尺度得点(UWES-J)を従属変数,組織公平性尺度得点(OJS-J),年齢,性別,役職,雇用形態,勤務形態,自己効力感,ソーシャルサポート,仕事のコントロール,仕事の量的負荷を独立変数として,段階的に重回帰分析を行った。さらにOJS-Jの各下位尺度得点についても同様に段階的に重回帰分析を行った。結果 270人に調査票を配布しそのうち有効回答のあった219人(回収率83.0%)を解析対象とした。UWES-Jを従属変数とし,年齢,性別のみ調整したモデル1,加えて役職,雇用形態,勤務形態,自己効力感得点を調整したモデル2,さらにソーシャルサポート得点,仕事のコントロール得点,仕事の量的負荷得点を調整したモデル3のすべてのモデルにおいてUWES-JとOJS-Jとの間に有意な正の関連が認められた(モデル3:β=0.202, P<0.01, R2=0.363)。さらに,OJS-Jの各下位尺度得点について同様の分析を行ったところ,手続き公平性得点とUWES-Jとの間に有意な正の関連が認められた(モデル3:β=0.165, P<0.05, R2=0.383)。いずれのモデルにおいても,分配公平性得点と情報公平性得点には有意差を認めなかった。結論 病院に勤務する看護師のワーク・エンゲイジメントと組織公平性との関連を調べた結果,ワーク・エンゲイジメントと組織公平性,とくに手続き公平性との正の関連が認められた。これらより,看護師のワーク・エンゲイジメントを向上させるためには組織公平性の保持と向上が重要であることが示唆された。
著者
河野 啓子 松木 秀明 式守 晴子 松岡 昌子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.57-63, 2003
被引用文献数
1

東海大学健康科学研究科看護学専攻(修士課程)が開設され、3年を経た現在、より充実した大学院にするための見直しが必要と考えられた。その基礎資料を得るために、看護職の大学院への進学ニーズを明らかにすることを目的に本研究を行った。その結果、以下のことが明らかになった。1)大学院への進学希望者は「すぐに進学したい」は2.0%、「条件が整えば進学したい」は48.5%であり、両者をあわせると50%強であった。2)大学に対する要望としては、「研究指導日、講義日程が調整可能」、「通信教育」、「夜間開講」、「社会人特別選抜」、「土・日・祝日開講」など、働きながら就学できる条件が多くあげられた。3)大学院への進学において特に重要視する項目は、「カリキュラムの内容」、「入試科目」、「地理的条件」であった。