著者
岡田 羊祐 林 秀弥 大橋 弘 岡室 博之 松島 法明 武田 邦宣 中川 晶比兒
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、独禁法違反事件に係る審判決を素材として、日本の判例法的展開を、経済学の一分野である産業組織論の視点から分析・評価したものである。日本では、米国・EUと比較して、独禁法の判例研究が経済分析を刺激するプロセスが十分に機能してこなかった。そのため、経済合理性の視点からみて特異な判断が採用されてきたこともあった。この空隙を埋めるべく、経済学者と法学者が共同して独禁法の審判決の違法性判断基準を理論的・実証的に分析した。その結果、近年、日本の独禁法審判決は、一部の行為類型、特にカルテル・談合、企業合併などの分野において、徐々に経済学的にみて合理的な判断基準が採用されつつあることが明らかとなった。