著者
松本 俊治 細川 義則 阿部 寛 松森 英明 松崎 勝寛 箱崎 幸也 植草 利公 石岡 知憲 桑原 紀之 福田 芳郎 出口 英一 新井 健男 宮野 武 駿河 敬次郎 石川 浩
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.442-451, 1986-04-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
12
被引用文献数
1

先天性胆道疾患(先天性胆道閉鎖症14例,先天性総胆管拡張症5例,Alagille症候群1例)の肝内γ-glutamyl transpeptidase(γ-GTP)を組織化学的に検討し,血清γ-GTP値と比較した結果,胆管閉塞時の血清γ-GTP上昇には,肝小葉内γ-GTP活性増加と著明な胆管増殖が関係する事がわかった.肝内γ-GTPの電顕的検討を,先天性胆道閉鎖症3例,肝外胆管閉塞ラットで行い,胆管閉塞時の肝内γ-GTPの超微形態的局在状態を初めて明らかにした.胆管閉塞時,肝小葉内では,γ-GTPの増加した毛細胆管,肝細胞において,γ-GTPの毛細胆管腔,Disse腔への流出が起り,グリソン鞘では,γ-GTPの増加した増殖胆管で,γ-GTPの内腔への流出,増殖胆管周囲小血管への流出が起る事を示唆する所見も得られた.