著者
山本 巌 田中 距聰 藤本 哲也 太田 和親 松崎 啓
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1227-1230, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
4

1,1-ジフェニルポスホリナニウムプロミド[1]を出発物質として,二硫化ジメチルによるα-位へのメチルチオ基の導入,それにつづくデカナールとのWittig反応を行ない,対応するビニルスルフィド[4]を収率56%で得た。つぎに[4]を,ヘキサナールとWittig-Horner反応すると,アルコール[5]が収率67%で得られた。ついで,[5]を水素化ナトリウムで処理すると,Douglas Fir Tussock Moth(Orgyiapseecdotsugata)の性フェロモン前駆体であるジエン[6]が収率31%で得られた。さらに,[6]を塩酸水溶液で加水分解し,目的の性フェロモンて[7]を収率82%で得た。
著者
松崎 啓 守屋 正夫 祖父江 寛
出版者
日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.2039-2042, 1960

ペンゼン- エタノールによる樹脂抽出, 1% カセイソーダキアボイル, 17.5 % カセイソーダ抽出処理などを行なったアップランド綿を4%硫酸と1~5時間加熱し,分解溶出する糖をペーパークロマトグラフィーにより定性および定量した。また樹脂抽出処理した木綿の加水分解液をセルロース粉および厚手のロ紙を用いて分別し,D-ガラクトース,L-アラビノース, D - キシロース, L - ラムノース, L - フコースを遊離糖あるいは誘導体として確認した。マンノースおよびリボースの存在は疑わしく,フラクトースは存在しない。木綿中のアラビノース基およびガラクトース基はもっとも加水分解されやすく,その量は脱脂木綿に対しともに約0.3%であるが,キシロース基は酸加水分解に抵抗性で,その量は0.2~0.3%と考えられる。標準セルロース調製法に準じて,1%カセイソーダで10時間キアボイルした木綿中にも,0.05~0.06% .06%程度のアラビノース基, ガラクトース基, キシロース基が残留しており, フコース基, ラムノース基も認められる。
著者
松崎 啓 守屋 正夫 祖父江 寛
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.869-871, 1959
被引用文献数
1

トド松パルプ中の銅アン=モニア液に不溶な部分を精製し,グルコマンナンを単離した。そのマンノース基/グルコース基(M/G)は約4で,少量のギシロース基を含む。パルプをアルカリ抽出し,抽出したヘミセルロースをフェーリング液で精製をくり返すと,M/Gが3~3.5のグルコマンナンと,グルコマンナンおよびセルロースを混じているキシランを主成分とする部分が得られた。酸加水分解したグルコマンナンのM/Gは3.65で結晶性のX線図を示した。キシラン中のアルドバイウロン酸の構造につき考察を加えた。