著者
祖父江 寛 村上 謙吉
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.9, no.92, pp.454-461, 1952
被引用文献数
2

樹脂加工用尿素・ホルムアルデヒド初期縮合物は従来のものは甚だ不安定で, 使用中短期間に混濁, またはゲル化してしまう。しかしながらトリメチロール尿素, テトラメチロール尿素のような高メチロール化物を共存させるとき, 樹脂液は長期間安定性を失わぬ [デュポン社, 英特許 641, 703 (1950)]。<BR>かかる実用的な面からしても, 初期縮合物モノ, ジ, トリ, テトラの4種メチロール化物のおのおのの生成量の比及び状態が反応温度, 反応時間, 触媒量の変化によつて, いかに変化するかを知ることは重要なことである。これに関する報文は第2報以下にゆずり, 第1報にては適当な低温条件下で, モノ, ジの2種のメチロール尿素を生成せる場合の尿素, ホルマリン, モノメチロール尿素間の平衡恒数K1及びモノメチロール尿素, ホルマリン, ジメチロール尿素間の平衡恒数K2の測定に関し, 2種類の異つた測定法を述べこれらと井上・細野氏の測定法とを比較検討した結果について記述する。
著者
祖父江 寛 福原 節雄
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.1070-1073, 1958
被引用文献数
1

ブナ, 赤松, 竹, エゾ松材よりBraunsの方法で天然リグニンを抽出し3800~650cm<SUP>-1</SUP>領域の赤外線吸収スペクトルを測定し,各吸収帯の帰属を推定した。ブナでは3400cm<SUP>-1</SUP>はOH伸縮振動,2940,2860cm<SUP>-1</SUP>はCH<SUB>2</SUB>,CH<SUB>3</SUB>のCH伸縮振動,1720,1660cm<SUP>-1</SUP>はC=Oの伸縮振動,1600,1510cm<SUP>-1</SUP>はベンゼン環の骨格振動,1460,1425,1365cm<SUP>-1</SUP>はCH<SUB>3</SUB>,CH<SUB>2</SUB>等のCH変角振動,1325cm<SUP>-1</SUP>は(不明),1270,1220cm<SUP>-1</SUP>はarylC-O伸縮振動,1120,1030cm<SUP>-1</SUP>はO-C(aliphatic)伸縮振動,825cm<SUP>-1</SUP>はベンゼン環のCH面外変角振動によるものと一応推定した。この際,1270cm<SUP>-1</SUP>吸収強度<1220cm<SUP>-1</SUP>吸収強度であった。次にブナ,赤松両リグニンを比較した。赤松はブナに比較して1325cm<SUP>-1</SUP>の吸収がなく,かつブナとに逆に1270cm<SUP>-1</SUP>吸収強度>1230cm<SUP>-1</SUP>吸収強度であった。これらの関係を既往の文献をも参考とし針葉樹, 広葉樹, 禾本科(竹),リグニン等について比較検討した。
著者
祖父江 寛
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.465-467, 1963
被引用文献数
1
著者
松崎 啓 守屋 正夫 祖父江 寛
出版者
日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.2039-2042, 1960

ペンゼン- エタノールによる樹脂抽出, 1% カセイソーダキアボイル, 17.5 % カセイソーダ抽出処理などを行なったアップランド綿を4%硫酸と1~5時間加熱し,分解溶出する糖をペーパークロマトグラフィーにより定性および定量した。また樹脂抽出処理した木綿の加水分解液をセルロース粉および厚手のロ紙を用いて分別し,D-ガラクトース,L-アラビノース, D - キシロース, L - ラムノース, L - フコースを遊離糖あるいは誘導体として確認した。マンノースおよびリボースの存在は疑わしく,フラクトースは存在しない。木綿中のアラビノース基およびガラクトース基はもっとも加水分解されやすく,その量は脱脂木綿に対しともに約0.3%であるが,キシロース基は酸加水分解に抵抗性で,その量は0.2~0.3%と考えられる。標準セルロース調製法に準じて,1%カセイソーダで10時間キアボイルした木綿中にも,0.05~0.06% .06%程度のアラビノース基, ガラクトース基, キシロース基が残留しており, フコース基, ラムノース基も認められる。
著者
松崎 啓 守屋 正夫 祖父江 寛
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.869-871, 1959
被引用文献数
1

トド松パルプ中の銅アン=モニア液に不溶な部分を精製し,グルコマンナンを単離した。そのマンノース基/グルコース基(M/G)は約4で,少量のギシロース基を含む。パルプをアルカリ抽出し,抽出したヘミセルロースをフェーリング液で精製をくり返すと,M/Gが3~3.5のグルコマンナンと,グルコマンナンおよびセルロースを混じているキシランを主成分とする部分が得られた。酸加水分解したグルコマンナンのM/Gは3.65で結晶性のX線図を示した。キシラン中のアルドバイウロン酸の構造につき考察を加えた。
著者
祖父江 寛 中村 茂夫 村上 謙吉 梶浦 淳資
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.19, no.206, pp.365-369, 1962-06-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
5
被引用文献数
1

分子量分布の多分散性を示すために一般に用いられているパラメーターMw/Mnの分子量依存性を一般的な分布関数f (M)について検討した。その結果分布の形が全く同一でもMw/Mnの値は分子量が大きくなると単調に1に近づき, 分子量依存性を示すことがわかった。またこのような現象を具体的に示すものとして若干の簡単な分子量分布模型についても検討を加えた。
著者
祖父江 寛 福原 節雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.520-524, 1960-03-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
15
被引用文献数
3

典型的な試料として,酢酸セルロースをNaOH-エタノール溶液でケン化してつくった非晶性(再生)セルロース膜を用いた。この試料を濃度を変えたエタノール水溶液および他の有機溶剤でおのおの十分に置換し,乾燥,重水素化後,赤外線吸収スペクトルを測定し,OH基の吸収強度から相対的な結晶化度を求めた。この結果,(1)セルロース膜の結晶化度は他の条件が一定な場合,エタノール中のH2O濃度および浸漬温度に支配され,H2O濃度が大で,かつ温度が高いほどより多く再結晶化することを認めた。そこで非晶性セルロースの再結晶化はミクロブラウン運動に起因するものと推定した。(2)非晶性セルロースの再結晶化に及ぼすH2Oの影響は大きい(D2O中に浸漬するだけで乾燥しなくてもかなりな量が再結晶化する)がエタノール,アセトン,ベンゼン等の影響は非常に少ない。(3)また,非晶性セルロース膜に付着した有機溶剤の完全な除去は困難であることを赤外線スペクトルから明らかにした。