著者
古市 昌一 尾崎 敦夫 松川 仁 岩瀬 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.1610-1622, 2001-12-01
被引用文献数
4

本論文では, 異機種分散シュミュレーッション統合アーキテクチャーHLAをベースとした, 並列分散シュミュレーションシステム構築実行モデルPDS/HLAを提案する.PDL/HLAモデルは, プログラマは実行する計算機のアーキテクチャーを意識することなく, シュミュレーションの対象とする実行主体の振舞いを定義することによりプログラミングを行う.並列分散計算機環境へのマッピングは, 実行主体の生成や消滅及びイベントの発生を定義するファイルの中で, PDS/HLAで定める負荷分散プログラマを指定することにより静的に行う.標準仕様HLAをベースとしているため, 既存のHLA準拠シュミュレータを組み合わせた効率の良いシステム開発を行うことができるともに, 対象とする問題規模が増加した際には, プログラムを変更することなく, 実行計算機の台数を増やすことにより対処できることが特徴である.本論文では, 提案するPDS/HLAモデルの有効性を示すため, 本モデルをベースとした開発実行支援環境MARINEを実装し, 教育・訓練用のウォーゲームシュミュレーションシステムに適用して性能評価を行い, プログラムの記述性の高さと, 分散計算機環境上での並列処理の効果について議論している.