著者
古市 昌一 水野 政治 松本 聡 宮沢 稔 青山 和弘 高橋 勝己 宮田 裕行
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.437-438, 1997-03-12
被引用文献数
2

バーチャルプロトタイピングの積極的な導入による, 設計開発コストの低減が進んでおり, 設計開発支援用の各種シミュレータ製品の導入や, 独自に開発したシステムの効果的な利用が進んでいる. しかし, それぞれは独自の入出力仕様で作られているのが普通で, 連接して大規模なシミュレーションを行ったり, 組み合わせて再利用するのは大変難しい. これらを可能とするためには, 異機種シミュレータを接続するための共通接続アーキテクチャと, インタフェースの標準化が必要である. フライトシミュレータに代表される訓練用リアルタイムシミュレータの接続においては, プロトコル仕様 DIS (Distributed Interactive Simulation)が1993年に IEEE 標準となり, 遠隔地に設置された訓練用シミュレータを DIS で接続し, 大規模演習に広く利用されている. 米国防総省は, 更に広範な異機種シミュレータの連接を目的とし, 1995年に接続アーキテクチャ HLA (High Level Architecture) を提案し, HLA を中核とした DIS の将来仕様 DIS++ の標準化を1996年より開始した. 我々は, バーチャルプロトタイピング環境の接続基盤として DIS++ の適用可能性を研究するため, 中核ソフトウェア HLA-RTI(Run Time Infrastructure)の主要部と, 評価用に DIS++ 準拠シミュレータを試作した. 本稿では, まず DIS++ の核である HLA の概要と, 実現のための技術課題を述べ, 次に試作したシステムの概要を述べ, 最後に本システムの応用に関して述べる.
著者
古市 昌一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.327-333, 2009-04-15
被引用文献数
1

米国ラスベガスで2009年1月に開催された2009CESの展示で,携帯端末やノートPCのモニタから大型の表示装置に至るまで,さまざまな機器で共通的に利用されて注目を集めていた技術の1つが,複数の接触点の位置を認識可能なマルチタッチ方式のタッチパネルであった.シングルタッチ方式のものは従来から列車の券売機等でおなじみであるが,携帯電話でマルチタッチ方式が最初に採用されたのは,2007年にApple社より発売されたiPhoneである.TVのCM等で,2本の指で巧みに画像を拡大・縮小し,指でなぞるジェスチャにより画像を動かす新しい操作法を初めて観たときの新鮮さを,多くの読者の皆さんは覚えているであろう.その後2008年から2009年にかけてはマルチタッチ方式のタッチパネルを採用したノート型PCの製品化が続いており,TV等を含む多くの表示装置がマルチタッチ方式のタッチパネルとなる日も遠くないと筆者は信じている. 今後さらにタッチパネルの大型化が進むと,会議のように多人数が協調作業する場でマルチタッチ方式が効果を発揮すると,読者の皆さんはお考えになるであろう.しかし,上述したマルチタッチ方式のタッチパネルはいずれもシングルユーザであり,大型化により多数の人が同時に操作できるようになったとしても,誰の指かをシステムが認識できないため,文字や図等を描く作業には適さないのである.会議等の協調作業の場で必須となる機能それは同時に触れている複数の指がそれぞれ誰のものであるかを認識するマルチユーザ機能である.本稿では,まずマルチタッチ方式を中心にタッチパネルによるヒューマンインタフェース研究の最前線を紹介した後マルチユーザ・マルチタッチ方式の技術紹介を通して今後の方向性と展望を紹介する.
著者
久保田 大輝 Naomi Nazar 大久保 友博 斉藤 咲喜子 粟飯原 萌 古市 昌一
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.877-878, 2017-03-16

英語学習において重要なのは文法と語彙力等であるが,特に語彙力の高さは読解及び会話,そしてTOEIC,TOEFL, IELTS等の得点向上のいずれでも重要である.そのため,我が国には語彙力の向上を目的とした学習用教材が多数あり,ゲーム形式で語彙力を向上する英語学習用ゲームも存在する.しかし,学習用ゲームの多くは学習用教材部分の質と量が十分でないとともに,総ての学習者がそのゲームに対して高い興味を持つわけではない,という問題点がある.そこで,本研究では,学習用教材として広く利用されている商用システムを使用して教材としての質と量を確保し,ゲーム部分については学習者に応じて各種のゲームを利用可能とする,複合シリアスゲーム型学習用教材実現方式を提案し,その一例としてFishyFishyを開発したので報告する.
著者
竹多 政裕 瀧嶋 悠 倉本 健介 古市 昌一
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.641-642, 2015-03-17

従来, 歴史研究家は資料等を収集し, 机上でのシミュレーションにより諸説の立案・検証してきた. このシミュレーション部分を, コンピュータを利用することでより多くの仮説を検証することが可能であるが, 既存の戦闘シミュレータは現代の戦闘の再現を目的としているため歴史上の人物の再現が困難であるとともにプログラミング知識が必要であった. そこで我々は, 戦国時代の武将の戦いを再現することを目的としてシミュレーションシステム戦国FUSEを試作したが, 既存の戦国FUSEでは桶狭間の戦い等の気象の動的な変化が戦況に影響をおよぼす戦いの再現ができなかった. そこで本研究では戦国FUSEに動的環境モデルを導入する方法を提案し, 実装を行った.
著者
田中和幸 河原好孝 古市昌一
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.555-556, 2014-03-11

2011年に発生した東日本大震災では,津波による被害者の数が膨大であった.災害時,多くの避難民はどこに避難すれば良いのか判断することが困難である.そこで,本研究では地震や災害発生時に避難民が効率良く逃げることのできるような方法を,地方自治体等の担当者が検討するために用いるツールとして,災害シミュレーションシステム(Agent for Disaster Simulation System,以下ADSSと称す)の構築を提案する.ADSSでは避難民をエージェントとして再現し,国土地理院の数値地図25000を用いるとともに,既存のハザードマップを入力として用い,各条件の違いによる避難民の被害度の違いを結果として得ることができる.
著者
鈴木 智博 坂 直樹 小林 篤史 古市 昌一
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.387-388, 2016-03-10

近年,小笠原諸島周辺海域にてサンゴが密漁されるというなどの海上警備問題が注目を集めている. 水産庁の調査によると,平成25年における全国の海上保安部,警察署及び都道府県における漁業関係法令違反の検挙件数は1,713件となっている.これらの事実は公式にあるものの機会がなければ閲覧することはない.また,テレビや新聞でも報道されているが,実際の現場ではなにが起こっているのかよく分からない.そこで,本研究では海上警備問題に対してのシミュレーションによる効果的検討環境の構築と一般市民による問題理解を目的とした操作・可視化法の実現を提案する.
著者
大和 佑輝 奥川 和希 呉 健朗 粟飯原 萌 古市 昌一 宮田 章裕
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.12-20, 2020 (Released:2020-03-31)
参考文献数
33

We have proposed a method to detect barriers on the road using the walking data of pedestrians. However, since users who measure and provide walking data do not obtain a benefit directly, they are unlikely to be willing to collect walking data. Hence, we propose a walking data gathering system using gamification. The proposed system meets both of the following requirements: 1) the user can collect walking data appropriate for barrier detection, and 2) the user can keep up motivation because of the game story. The results of the experiment show that our proposed system could improve motivation for collecting walking data.
著者
成田一也 小林優太 宮島香里 ステーブンバンダベフト 粟飯原萌 古市昌一
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.647-649, 2014-03-11

近年,勉強に対する苦手意識からモチベーションが上がらず,その結果数学等を嫌いになる生徒の増大が問題となっている.この問題を解決するために教育現場では学習者のモチベーション向上のため,様々な方法が実施されており,その一つにシリアスゲーム(以下SG)を利用する方法が知られている.しかし従来のSGでは,紙の教材を電子化しただけでモチベーション向上には繋がりにくいことや,数学的思考力の向上には役立つが,その成果を試験などで発揮できたかどうかが十分評価されていないという問題があった.そこで,本研究ではそれらの問題を解決するゲームとして,三角関数を題材とした横スクロールアクションゲームを作成し,その初期評価結果について述べる.
著者
粟飯原萌 小林貴之 村上雄太郎 菅原祐人 花村成慶 武田智裕 古市昌一
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.307-308, 2011-03-02

本研究は,教育支援を目的としたシリアスゲーム(SG)に関するものである.対象は就学前の児童で,社会性や言語教育等の支援を目的とした電子絵本の利用を効果的に実施するため,集中力を持続させるためのHMIに関する.児童が電子絵本との間で複数の手段でインタラクションを繰り返してストーリが進行・展開することにより,集中力を維持することを特長としたHMIを提案する.本HMIでは,電子絵本中の複数の登場人物をAR,OpenCV及びマルチユーザタッチパネルを利用したユーザ認識技術を複合的に利用することにより,一人または複数の人が同時に操作することが出来る. 本稿では,方式の提案及び初期評価結果について述べる.
著者
尾崎 敦夫 古市 昌一 阿部 一裕 中島 克人 田中 秀俊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.2810-2818, 1999-06-15
被引用文献数
5

渋滞解消のための実時間信号制御や 広域な交通網整備などの用途への活用を目指した大規模交通シミュレータを開発した. 本シミュレータは提案した時空間オブジェクトモデルを基礎にインテル社製のMIMD型高並列計算機Paragon上に開発したものである. 本シミュレータの性能評価の一環として 並列処理の単位となる粒度に関して 高性能を得る最適な粒度を求めるための負荷バランス方式の実験を行った. 負荷バランス方式は 道路網を細かく分割して 各プロセッサヘラウンドロビンに割り振る多重マッピング方式を採用した. 横浜市の中心部4km×2km四方の領域の実データを使用し Paragonの32プロセッサを用いて 多重マッピング方式を適用した場合に 約3 000台の車と約1 400の信号付き交差点を実時間実行できることが分かった. このケースでは 負荷バランスを考慮しない単ーマッピング方式と比べて約2倍の性能向上が達成できている.We developed a large scale car traffic simulator based on a Space-Time Object model. The target application of this simulator is real time traffic lights control, design of road network and so on. In this paper, we discuss issues in implementation and the performance evaluation of the simulator. We also present the results of static load balancing. Two mapping schemes have been applied for estimation of the performance of load balancing. One is a one-to-one mapping scheme, in which one sub-road is mapped onto one processor. Another is multiple mapping scheme, in which more than two sub-roads are mapped onto one processor. The simulator based on multiple mapping can simulate about 3,000 cars and 1,400 traffic lights at real time speed on 32 processors of Intel Paragon using the actual road map of a 4km × 2km area in the heart of Yokohama city. The performance of the simulator based on multiple mapping is about two times faster than that of one-to-one mapping in this case.
著者
古市 昌一 尾崎 敦夫 松川 仁 岩瀬 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.1610-1622, 2001-12-01
被引用文献数
4

本論文では, 異機種分散シュミュレーッション統合アーキテクチャーHLAをベースとした, 並列分散シュミュレーションシステム構築実行モデルPDS/HLAを提案する.PDL/HLAモデルは, プログラマは実行する計算機のアーキテクチャーを意識することなく, シュミュレーションの対象とする実行主体の振舞いを定義することによりプログラミングを行う.並列分散計算機環境へのマッピングは, 実行主体の生成や消滅及びイベントの発生を定義するファイルの中で, PDS/HLAで定める負荷分散プログラマを指定することにより静的に行う.標準仕様HLAをベースとしているため, 既存のHLA準拠シュミュレータを組み合わせた効率の良いシステム開発を行うことができるともに, 対象とする問題規模が増加した際には, プログラムを変更することなく, 実行計算機の台数を増やすことにより対処できることが特徴である.本論文では, 提案するPDS/HLAモデルの有効性を示すため, 本モデルをベースとした開発実行支援環境MARINEを実装し, 教育・訓練用のウォーゲームシュミュレーションシステムに適用して性能評価を行い, プログラムの記述性の高さと, 分散計算機環境上での並列処理の効果について議論している.
著者
尾崎 敦夫 松下 和隆 白石 將 渡部 修介 古市 昌一 佐藤 裕幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.118, pp.13-18, 2007-06-21

本論文では,移動体が道路網上を移動する道路交通シミュレーションを取り上げ,模擬結果を変えずに移動体間の同期及び模擬コストを低減し実行性能向上を図る,道路交通向け動的タイムステップ制御方式を提案する.本方式を災害シミュレータの代表例であるロボカップレスキューの道路交通サブシミュレータへ適用した結果,酷い渋滞状態がなければ従来方式の約2〜3倍の性能向上が実現できることが確認できた.
著者
尾崎 敦夫 松下 和隆 白石 將 渡部 修介 古市 昌一 佐藤 裕幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.13, pp.1-12, 2007-08-15

我々は計算機クラスタ環境上において、航空機、艦船、車両等を主対象とする移動体シミュレーションの高速化手法である、動的タイムステップ制御方式(DTSS: event aware Dynamic Time Step Synchronization method)をすでに考案している。しかし、問題が大規模になった場合には、1 つの計算機上でも多数の移動体を高速に模擬することが求められる。本論文では、移動体が道路網上を移動する道路交通シミュレーションを取り上げ、模擬結果を変えずに移動体間の同期および模擬コストを低減させて実行性能向上を図る、道路交通向け動的タイムステップ制御方式(DTSS-RT: DTSS for Road Traffic simulation)を提案する。本方式を災害シミュレータの代表例であるロボカップレスキューの道路交通サブシミュレータへ適用した結果、ひどい渋滞状態がなければ従来方式の約 2~3 倍の性能向上が実現できることが確認できた。We have already proposed DTSS (event aware Dynamic Time Step Synchronization method) for speeding up moving objects (MOs) simulation, e.g. aircraft, ships, vehicles and so on, in a computer cluster environment. However, speeding up the simulation for a number of MOs on a single processor is required as well, when the problem size is enlarged. In this paper, we propose DTSS-RT (DTSS for Road Traffic simulation), which can speed up the simulation by reducing the simulation cost of each MO and synchronization cost between MOs without changing the simulation result. For evaluating DTSS-RT, we employed a road traffic sub-simulator of RoboCupRescue simulation. The results show that the performance of the simulation based on DTSS-RT is improved approximately 2~3 times over that of the conventional method except when the situation includes a heavy traffic jam.