著者
川端 博子 松本 あゆみ 吉澤 知佐
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.139-146, 2007
参考文献数
7

セミフレアスカートにおける裏地の効果について,着用評価とスカートの裾線形状から追究した.3種の裏地(キュプラ,差別化ポリエステル,ポリエステル一般裏地)に,2種の異なるパターン(スカートと同型でフレア状に裁断したものと脇スリット入りのストレートな形状のもの)を組み合わせた6枚のスカートについてテストした.13人の女子学生が着用評価を行った結果,フレア形状の裏地をつけたスカートは快適と感じられ,中でも動作性に優れていた.また,キュプラ裏地のものは肌ざわりにおいて他より優れていた.動作分析法により,マネキンに着せたスカートの裾線の形状を静的・動的状態で観察した.静的状態においてフレア形状の裏地のスカートの裾面積は大きく,かつ裾線形状は左右対称であった.スカートの動きの観察から,フレア形状の裏地のスカートは裾面積および裾の移動距離が大きかった.また,フレア形状の裏地のスカートでは表地と裏地の間隙が少なく,一体となって動く様子が捉えられておりこのことも動作性を高める要因と考えられる.キュプラ裏地のものは裾面積が小さく広がりの少ない形状を呈したが,もっとも移動量が多く躍動感のある動きを示していた.このことは裏地のかたさと動的振動係数とかかわると推察される.これらのことから,スカートの快適性と形状は裏地のパターンと種類の両方から影響を受けることが明らかとなった.