著者
神田 未和 藤田 則子 松本 安代 堀口 逸子 木村 正
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.173-183, 2019-05-31 (Released:2019-05-31)
参考文献数
15

目的:カンボジアにおける子宮頸がん対策整備を目指した「カンボジア女性工場労働者のための子宮頸がんを入口とした女性のヘルスケア向上プロジェクト」における健康教育活動の実践報告をすること.事業/活動内容:カンボジア産婦人科学会(Cambodian Society of Gynecology and Obstetrics: SCGO)は,日本産婦人科学会(Japan Society of Obstetrics and Gynecology: JSOG),国立国際医療研究センター(National Center for Global Health and Medicine: NCGM)と共に,包括的な子宮頸がん対策事業を実施した(2015年10月-2018年9月).健康教育活動として,「女性工員の子宮頸がんに関する意識調査」を行い,子宮頸がん検診普及のための健康教育教材を開発し,カンボジア人の医師・助産師で編成された健康教育チームによって工場の状況に合わせた健康教育プログラムを開発・実施した.その結果,工場での子宮頸がん検診実施につながった.事業/活動評価:関連資料のレビューに加え,健康教育受講者13人と実施者8人に対しインタビューを行った.その結果,健康教育活動を通じて工場関係者の意識の変化や実施した学会関係者にとっては新しい気づきがあることが示された.また,女性工員たちが自らの健康や基本的な衛生・生理について知らなかったことも示された.課題:工員の識字率が高くないこと,時間的制約があり質疑応答やフィードバックの時間が充分に確保できないことから,女性たちが自らの健康について理解を深めるためには,健康教育内容と実施体制をさらに改善する必要がある.
著者
橋本 千代子 松本 安代
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.87-92, 2012-03-20 (Released:2012-04-10)
参考文献数
16

バングラデシュにおいて、看護・助産教育のカリキュラム作成や看護・助産師の認可はBangladesh Nursing Council (BNC)が行うと法的に定められている。BNCは看護・助産師教育カリキュラムの改訂を行い、2006年よりDiploma Nursing Courseとして新カリキュラムで教育を行っている。新カリキュラムでは、患者中心のケア、クリティカルシンキングのできる看護・助産人材の養成、コミュニティ中心の看護・助産のニーズに合わせて、看護・助産人材の能力強化を行うことを目標としている。しかしながら、Diploma Nursing Courseのみでは保健人材不足を補えず、民間の行う看護・助産教育もCertificate Nursing Courseとして存続している。看護・助産教育の移行期にあるバングラデシュでは、今後看護・助産の質向上のための教育の強化とともに、保健人材の量的不足へどのように対処していくかが課題である。