著者
松本 成史 橋爪 和純 渡邊 成樹 和田 直樹 北 雅史 柿崎 秀宏
雑誌
排尿障害プラクティス (ISSN:09195750)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.172-177, 2012-06

著者最終原稿版高齢化に伴い、下部尿路機能障害(LUTD)を有する人が増加しているが、その多くが「歳のせい」等の理由で受診していない。(株)セガの「トイレッツ」は、既存の男性用トイレに設置する広告機能付きゲーム機で、おおよその尿量が主に表記される。その結果により多くの人が排尿を身近に感じ、受診のきっかけになる可能性があると思われる。今回、「トイレッツ」を体験した中高年男性を対象に、LUTDの啓発として有効なツールになり得る可能性があるか否かをアンケートにより調査をした。その結果、81.5%が「トイレッツを体験して排尿状態を意識した」と回答しており、「トイレッツ」にて自分の排尿を知るきっかけになり、LUTDの啓発ツールに利用できる可能性が示唆された。
著者
松本 成史 島田 憲次 細川 尚三 松本 富美
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.43, no.8, pp.593-596, 1997-08
被引用文献数
1

9歳女児,7歳女児.「トイレの花子さん」というどこの学校にも存在するうわさ話・怪談の為にnonneurogenic neurogenic bladder(Hinman症候群)の初期像ともいえる臨床症状を示した症例を経験したTwo girls aged 6 and 7 years old with established urination habit complained of daytime incontinence and deterioration of nocturia after they started school life. They were quite afraid of the lavatory and sometimes skipped urination during school time completely. Voiding cystography revealed bladder trabeculation and vesicoureteral reflux. On cystometry, bladder compliance was preserved with no uninhibited contraction. Ghost tales about labatories, such as "the tale of Ghost Hanako," prevail in almost every elementary school in Japan. In some children, especially schoolgirls, lavatory phobia results in dysfunctional voiding. Such "Ghost Hanako's syndrome" may be an early phase of non-neurogenic neurogenic bladder (the Hinman syndrome). Detailed information regarding school life and urination habit is important for the treatment of this entity.
著者
松本 成史 柿崎 秀宏
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.147, no.1, pp.40-44, 2016 (Released:2016-01-09)
参考文献数
26

1977年,F. Muradらは生体内における血管内皮由来物質としてのNO(一酸化窒素)の働きを発見し,1998年にはノーベル生理学・医学賞を受賞した.血管内皮やNO作動性神経から放出されたNOは,cGMP(環状グアノシン一リン酸)を産生して平滑筋を弛緩させる.cGMPを分解するPDE(ホスホジエステラーゼ)type5の活性化を抑制するPDE5阻害薬は,平滑筋細胞内cGMP濃度の低下を防ぎ,結果としてNO産生量を増加させる.PDE5阻害薬は,1990年代前半に狭心症治療薬として開発されていたが,陰茎海綿体平滑筋等を弛緩させることでED(勃起不全)に有効であることが認められ,本邦においても1999年にシルデナフィルがED治療薬として承認を受けた.またPDE5阻害薬はPAH(肺動脈性肺高血圧症)治療薬としても臨床応用されており,EDのみならず全身的な血管・血流改善薬の可能性を秘めている.LUTS/BPH(前立腺肥大症に伴う下部尿路症状)に関しては,その相関性について議論されており,共通の発症要因としてのNO-cGMP系の低下が注目されてきた.PDE5は陰茎海綿体のみならず,膀胱,前立腺,尿道をはじめとする下部尿路にも広く分布していることが知られており,PDE5阻害薬の中でタダラフィルは2014年に「BPHに伴う排尿障害」治療薬として本邦においても臨床での使用が開始となった.PDE5阻害薬は膀胱出口部閉塞抑制作用,骨盤内血流改善作用,求心性神経活動抑制作用といった下部尿路に対する作用に加え,抗炎症作用,抗酸化作用,血管内皮保護作用等の多岐に亘る薬理作用を有していることが知られており,本項では第88回日本薬理学会年会シンポジウムで発表した内容を中心に報告する.
著者
菅谷 公男 西島 さおり 嘉手川 豪心 安次富 勝博 野口 克彦 松本 成史 山本 秀幸
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.11-17, 2021

<p> (目的) 水素は体内の酸化防止に効果があるとされているが,体内では水素は腸内細菌叢によって産生され,呼気中に排泄される.そこで,呼気中水素濃度(以下,呼気水素)の日内変動と,飲食物や泌尿器疾患との関連を検討した.</p><p> (対象と方法) 健常ボランティア(男40例,女45例,30~83歳)と,60歳以上の前立腺肥大症40例と女性過活動膀胱30例を対象とした.3例のボランティアでは飲食物摂取前後の呼気水素を測定し,1例では呼気水素の日内変動を調べた.ボランティアと泌尿器科外来患者では呼気水素と年齢や泌尿器疾患との関連を調べた.呼気水素が高値の1例と低値の1例では10日以上同一時刻に呼気水素を測定して変動幅を調べた.</p><p> (結果) 水道水,水素水や食物でも,摂取後に呼気水素は一時的に上昇した.日常生活では呼気水素は排便後に低下し,食事摂取で上昇し,腸管ガスが溜まった鼓腸で上昇した.呼気水素の最も高い女性の値は11.2~188.6ppmであったが,最も低い女性では0.4~2.3ppmであった.ボランティアの女性では加齢に伴って呼気水素は有意に上昇した.60歳以上では健常ボランティアと,前立腺肥大症,過活動膀胱や便秘の患者の呼気水素に差はなかった.</p><p> (結論) 呼気水素は飲食や加齢に伴って上昇し,前立腺肥大症,過活動膀胱や便秘とは関連しなかった.呼気水素は個人差が大きく,腸内細菌叢の違いによる差と考えられた.</p>
著者
渡邊 和恵 松本 成史 豊嶋 恵理 石上 香 大崎 能伸
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.397-401, 2016 (Released:2017-02-06)
参考文献数
8
被引用文献数
1 4

本邦では,2015–16シーズンから4価インフルエンザワクチンが用いられるようになったが,成人に対する副反応については十分な報告が無い.今回,当大学および当院職員を対象とした4価インフルエンザワクチン予防接種を受けた被接種者を対象に,副反応調査を実施した.副反応発現率は75.3%であり,主な副反応としては,注射部位の発赤,腫脹,疼痛等の局所症状が主で,重篤な副反応の報告はなかった.本調査は,職員に対する予防接種の副反応調査であるが,副反応の種類や頻度は,国内外の臨床試験成績と同様であり,4価ワクチンの忍容性が示唆された.