著者
江藤 千佳 矢田 大輔 松本 雅子 飯田 瀬里香 小田 智昭 成味 恵 幸村(小林) 友希子 磯村 直美 内田 季之 鈴木 一有 伊東 宏晃
出版者
静岡産科婦人科学会
雑誌
静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.131-136, 2019

環状第3染色体は稀な様々な表現形を呈する染色体異常であり、これまでの報告例は13例である。症例は30歳、1妊0産、身長137cm。3歳で低身長を主訴に小児科を受診し、環状3番染色体の指摘を受けた。妊娠22週に頸管無力症に対し頸管縫縮術(マクドナルド法)を行った。その後、腸閉塞、尿路外溢流を発症し、妊娠23週に皮膚腸管瘻形成術、尿管ステント挿入術を施行した。妊娠30週に陣痛発来し、妊娠30週1日、体重1726g 41cmの男児を経腟分娩した。本症例では、腸閉塞と尿路外溢流の発症の原因は妊娠子宮の圧迫であったと考えられた。低身長の妊婦が正常発育の胎児を妊娠した場合、妊娠子宮の圧迫症状のリスクに留意する必要がある。本症例が環状3番染色体を持つ女性の初めての妊娠、出産報告である。
著者
松本 雅子 田端 和代 黒木 邦子 杉村 恵美子 畑中 京子 和田 富雄
出版者
日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.315-321, 1997

近年, 高齢女性の肥満化傾向が指摘され, そのため高齢者乳癌が増加しているといわれている。当施設での検診受診者に対して, マンツーマン方式の乳房自己検診 (以下, BSE) 指導を行う中で, 肥満気味で乳房の大きい人はBSEに消極的である印象を受けてきた。そこで今後のBSE指導の課題とするため, 肥満および乳房カップサイズとBSEとの関連について, 精密検診受診者中, 資料の得られた1,013名について調査した。その結果, 50歳代以上の肥満者の割合が多く, 肥満者にはカップサイズの大きな人が多いことがわかった。BSE実施状況は, 実施率が非肥満群72.9%に比して肥満群65.8%と低率で, 中でも肥満群Dカップは57.7%と最も低率であった。BSE実施による3cm以下の「しこり」自覚率についても, 非肥満群84.2%に比して肥満群42.9%とかなり低率であったが, カップサイズ別にみるとサイズの大きな人でも, 小さな「しこり」を自覚できていた。<BR>以上のことより, 高齢肥満者でカップサイズの大きな人には, BSE指導が特に重要と考える。たとえ肥満気味で乳房が大きくとも, 意識の持ち方と正しいBSE実施により「しこり」の発見は可能であると考えられ, 今後の指導に生かして行きたい。