- 著者
-
榛葉 賴子
矢田 大輔
小田 彩子
東堂 祐介
伊藤 敏谷
鈴木 康之
- 出版者
- 静岡産科婦人科学会
- 雑誌
- 静岡産科婦人科学会雑誌 (ISSN:21871914)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.2, pp.59-63, 2020
腟内異物が放置される例は、産婦人科ではまれに経験される。症例は 50 歳。スプレー缶の蓋を腟内に自己挿入し、抜去できずに約2年間放置していた。抜去目的に当院を紹介され、腰椎麻酔下に子宮把持鉗子で抜去した。抜去された異物は、石灰化物質で覆われており、成分分析では、リン酸カルシウムとリン酸マグネシウムが検出された。報告では腟内のカルシウムイオン、マグネシウムイオンは尿の成分に由来 すると結論づけられるものが多い。腟内異物の症例では膀胱腟瘻を来していることも多い。本症例では画像検査で膀胱腟瘻などの解剖学的異常はなく、抜去可能であった。長期間放置された腟内異物の診療では、膀胱腟瘻などの解剖学的異常も含め、画像検査で評価することが有用である。