著者
秋山 守文 三神 俊彦 松村 将之 鶴間 哲弘
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2721-2724, 2008 (Released:2009-04-07)
参考文献数
11

北海道ではマムシ咬傷の報告例はほとんどない.われわれは腎不全,DICを併発したマムシ咬傷の1例を経験した.症例は65歳,男性.既往に冠動脈バイパス手術歴があり,アスピリンを服用していた.早朝マムシを捕え,マムシ酒を作る過程で誤って右拇指を咬まれた.咬傷後10時間してから初診,それ故右上腕に至るまで腫脹していた.翌日には腫脹は肩甲帯を越え,エコー検査では手背部に液体貯溜をみたため切開を加えた.切開創は抗血小板剤の影響もあり止血されず再縫合を余儀なくされた.乏尿,DIC症候も出現し,抗ショック治療を行い,臓器症状は比較的早期に改善したが腕の腫脹の消退には4週間を要した.北海道ではマムシ咬傷は臨床上あまり問題になることは少ないが本症例の如く重症例も起りうることを啓蒙すべく報告する.
著者
曽ヶ端 克哉 水島 康博 松村 将之 川本 雅樹 野村 裕紀 秦 史壮 染谷 哲史 八十島 孝博 佐藤 卓 平田 公一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.469-473, 2005-04-01
被引用文献数
3

症例は88歳の女性で, 発熱・食欲低下を主訴に受診し, 腹部CTにて虫垂周囲膿瘍と触診にて腹膜刺激症状を認めた.血液検査上, WBC 27,600/mm^3, CRP 34.8mg/dlと高度の炎症所見を伴っていたため虫垂穿孔による汎発性腹膜炎と診断し手術を行った.術中所見では子宮底部に穿孔を認め, 直腸癌が子宮に浸潤し左尿管・左卵巣を巻き込んでいた.膀胱への浸潤を認めなかったため直腸・子宮・左卵巣合併切除および人工肛門造設術を施行した.病理組織学的には, 直腸癌が子宮筋層に浸潤しているのを確認した.本症例は癌の浸潤により子宮内腔が汚染され, 癌の進行とともに子宮に機械的閉塞を生じ子宮留膿腫を引き起こし穿孔したまれな症例であった.高齢女性の汎発性腹膜炎に遭遇した場合, 子宮・付属器の疾患も十分に考慮しつつ骨盤腔を精査し手術に望むべきであると思われた.