著者
石戸谷 重之 遠嶋 康徳 坪井 一寛 後藤 大輔 丹羽 洋介 村山 昌平 田口 彰一 松枝 秀和 森本 真司
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

大気中アルゴン濃度は海水温変動に起因してごく僅かに変動するため、高精度観測から広域平均の海洋貯熱量変動の情報が得られると期待される。本研究では開発した大気中アルゴン、酸素および二酸化炭素濃度等の高精度同時観測装置を用いて、つくば市における連続観測と、落石岬、高山市、波照間島、南鳥島および昭和基地において保存容器に採取した試料の分析により大気中アルゴン濃度の広域観測を行なった。各サイトで観測されたアルゴン濃度は夏季に極大値を示す明瞭な季節変動を示し、比較的長期の観測結果が得られているつくば市および波照間島のアルゴン濃度には、海洋観測に基づく全球の海洋貯熱量の変動と相関した年々変動が見られた。
著者
井上(吉川) 久幸 石井 雅男 松枝 秀和 吉本 誠義 森田 良和
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.829-839, 1998-12-25

1996年1月〜2月にかけて日本-オーストラリア、7月〜8月にかけて日本-アメリカ間を航行した大成丸(運輸省 航海訓練所)で中空糸膜モジュールを用いて海水と平衡になった乾燥空気中の二酸化炭素混合比(xCO_2^S)の測定を試みた。中空糸膜モジュールは、全容積が300cm^3と現在用いているシャワーヘッド型平衡器(設置に110dm^3必要)に比べて小さく、設置が容易である。中空糸膜モジュールを用いて測定したxCO_2^Sは温度計測を行うことにより従来のシャワーヘッド型平衡器の結果と良い一致を示した。14分離れて測定したxCO_2^Sの差は、0.1ppm(n=732)であり標準偏差は3.7ppmであった。このことは二つの平衡器間にシステマティックな差がないことを示しており、中空糸膜が平衡器として将来使用できることが分かった。