著者
松浦 元樹 田川 彰男 小川 幸春
出版者
千葉大学園芸学部
巻号頁・発行日
no.65, pp.55-59, 2011 (Released:2012-12-06)

クリープメータによる計測結果および市販のデジタルカメラで取得した画像を利用することで農産物・食品素材のヤング率およびポアソン比を計測した.画像計測は非接触のまま変形量の評価が可能であるため,煮熟された食品素材のように軟弱な試料であってもその変化を精密に解析することが可能であった.本手法を適用して,煮熟時間の経過に伴うダイコンおよびニンジンのポアソン比とヤング率の変化を計測したところ,ヤング率は沸騰水に投入直後から著しく低下するのに対し,ポアソン比の変化は緩慢であることが明らかとなった.またヤング率はダイコン,ニンジンともほぼ同様の値を示したが,ポアソン比はダイコンの方がニンジンよりも大きな値を示した.画像を利用した弾性的特性値の計測,評価法は,例えば食品素材の嚥下特性評価にも有効であると考えられる.
著者
松浦 元樹 田川 彰男 小川 幸春 Akio Tagawa 小川 幸春 Yukiharu Ogawa
出版者
千葉大学大学院園芸学研究科
雑誌
食と緑の科学 (ISSN:18808824)
巻号頁・発行日
no.65, pp.55-59, 2011-03

Young's modulus and Poisson's ratio, which characterized elastic properties of a material, were measured bymeans of compress utensil and digital images captured by digital camera, and the elastic values were evaluated. Atissue of boiled Japanese radish and carrot root, which is too fragile to measure their Poisson's ratio by traditionalmethods, was used as sample materials. Cylindrical samples were cut out of the tissue using a precise apparatusand their dimensions were set to 15mm height and 30mm diameter. The samples were then compressed. The stressof the samples against compression was measured using a creep meter. The compressed deformation of the sampleswas captured by a digital camera and accurately analyzed by high resolution digital images. The Poisson's ratio wascalculated from differences in the sample deformation in digital images. A Young's modulus was also calculatedfrom the compressed deformation and the stress. As a result, the Poisson's ratio of boiled Japanese radish wasfound to be constant or slightly decrease with boiling elapsed time. The Poisson's ratio of carrot also decreasedwith boiling, and its value was smaller than the Japanese radish's. On the other hand, the Young's modulus for eachsample decreased sharply when boiling started but after 4 minutes boiling it was stabilized at low values.
著者
松本 圭一 和田 康弘 松浦 元 千田 道雄
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.1116-1122, 2004-08-20
参考文献数
19
被引用文献数
4

検出器における不感時間,偶発同時計数および散乱同時計数は,陽電子放出断層撮影装置(PET装置)の定量性に大きく影響する.これらは,検出器の素材や形状,PET装置の体軸方向視野,さらには投与する放射能量や被写体の大きさなどに大さく依存する.このため近年のPET装置は,小型結晶を用い偶発同時計数と散乱同時計数を低減させ,さらに一つの検出器で一定時間内に処理すべき信号数を減少させることで計数率特性を向上させている.この結果,空間分解能の向上も図られ,さらには数万個の小型結晶を用いることで高分解能と体軸方向視野の拡大もされている.一方,放射性同位元素の時間当たりの崩壊数はポアソン分布に従い,総計数(N)の事象の統計誤差すなわち標準偏差(standard deviation ; SD)は√Nとなる.したがって信号雑音(signal/noise ; S/N)比を(平均/SD)で仮定すると,N/√N=√Nとなる.PET装置にて収集された計数の統計ノイズもこれと同様に考えることができるが,投影データから再構成された画像のS/N比は,各画素が互いに独立でないためより複雑になり,線源分布や被写体の大きさ,および空間分解能などに依存する.ここで,PET装置のS/N比の評価に,雑音等価計数(noise eauivalent count ; NEC)がある.National Electrical Manufacturers Association (NEMA) NU2-2001ではNECをPET装置の性能評価項目として定義し,広く用いられているS/N比の指標である.NECは,ファントム実験から簡便に得られる計算上の真の同時計数であり,画像再構成を行わずに画質を予測することのできる真の同時計数であると考えることができる.しかしながら, NECはPET装置視野全体の計数値であり,異なるPET装置すなわちスライス数や空間分解能が異なる装置では,再構成画像のS/N比をNECにて比較評価することができないと考えられる.なぜなら,検出器最大リング差(maximum ring difference)や体軸方向のline of response (LOR)の束ね(span),そして収集方法などが異なるためである.言い換えるならば,被写体(ファントム)が視野内(sinogram)に占める割合が同じであっても,そこに含まれる検出器の数または検出器の大きさが異なると再構成画像のS/N比は異なると考えられる.そこで今回,新しい指標として"Specific NEC(sNEC)"を考案した.これは,LORを考慮したNECという概念であり,視野全体のNEC(真の同時計数)が各LORに分配される割合を考慮した指標である.本研究では,その妥当性を再構成画像の画素値の変動計数(coefficient of variation ; COV)と比較することにより評価したのでここに報告する.