著者
松浦 旅人
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.142-160, 2003-03-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
42
被引用文献数
1 1

山形県新庄盆地に分布する中期更新世後半のテフラ層序を示し,奥羽山脈東側の地域に分布するテフラとの対比を試みた.テフラの対比にあたって,構成物質および屈折率特性の層内垂直変化に着目した.主なテフラは下位より,西山テフラ (Nsy), 鳥越テフラ (Trg), 二枚橋テフラ (Nmb), 泉川テフラ (Izk), 絵馬河テフラ(Emk),牛潜テフラ (Usk) が累重する.Nsy, TrgおよびEmkは奥羽山脈東側にも分布し, Trg, Emkは鬼首池月テフラ (O-Ik), 曲坂テフラ(MgA)にそれぞれ対比される.Uskは上位にあるレスの堆積速度を一定と仮定すると,200~230kaに噴出したと推定される.新庄盆地を埋積する中部更新統山屋層は,O-Ik噴出以降,Nmb噴出前後に堆積が終了し,その年代は300ka前後と推定される.
著者
松浦 旅人
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.39-52, 2006-01-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

本稿では,東北日本内陸盆地の一つである新庄盆地内の地形成因を明らかにするために,丘陵背面構成層・盆地埋積層の編年,および断層運動の解析に基づいて,地形の分化作用,盆地内隆起に関する考察を行った.その結果,盆地東部,新庄東山断層下盤側に形成されている泉田低地(沖積層堆積域)は,断層角盆地であること,盆地内に広く分布する丘陵背面(約300ka)は,断層運動による局地的な変位とは異なる地域的隆起によって形成されたこと,が推定される.第四紀後期において新庄盆地は逆断層運動によって山地から分化しながら,同時に盆地全体が隆起し開析を受けてきたことにより盆地内に丘陵が発達したものと考えられる.