著者
山口 智子 松澤 良江 小谷 スミ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.247, 2010 (Released:2010-10-15)

目的 米粉パンはもちもち感やしっとり感があり、米の甘みが感じられ、腹持ちが良いなどの特徴を有している。しかし、小麦パンと比較すると水分含有率が高いため、硬化の進行が早く、作りたての食感を保つことは難しい。そこで本研究では、米粉パンの製造の際にトレハロースを添加することで、保存中に水分含有率と食感が保持できるかどうかを検討することを目的とした。方法 米粉パンの材料として、米粉・食塩・上白糖・オリーブオイル・ドライイースト・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:SFE-4000、信越化学工業(株))・トレハロース・温湯を用い、180℃で焼成した。その後、ピュアパックに入れ25℃で5日間保存した。そして、保存1、2、3、5日目の試料について、水分含量を常圧乾燥法で、テクスチャー(硬さ、凝集性、付着性)を(株)山電製 卓上型物性測定器TPU-2S(B)を用いて測定した。また、トレハロースを添加した米粉パンと添加していない米粉パンについて、7段階評点法による官能評価を行なった。結果 トレハロースを添加した米粉パンは、保存日数が経過しても水分含有率の低下が少なかった。また、テクスチャーの変化を調べたところ、硬さと付着性の変化は少なく、硬化の進行が抑制される傾向がみられた。しかし、市販の小麦パンに比べるとテクスチャーの変化は大きく、柔らかな食感を保持することはできなかった。官能評価では、トレハロースを添加した米粉パンは添加していない米粉パンよりもきめの細かさやもちもち感、しっとり感などの食感が良いと評価され、総合評価でも有意に良く、好まれることが明らかになった。