著者
越智 佳世 桂 禎邦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.158, 2010 (Released:2010-10-15)

目的 近年、アレルギー疾患者が増加傾向にあり,ハウスダスト中に含まれているアレルゲン除去等の室内環境の整備の重要性が謳われている.そこで家庭のホコリの組成とホコリの中に含まれているカビ数・菌数・ダニ数・ダニアレルゲン量を測定し,室内塵中の成分分析を行った. 方法 一般家庭12家庭で一週間使用した掃除機の紙パックを回収し,そのホコリを分析,粗ごみと微細粒子に分類し粗ごみは繊維・土砂・食物・毛髪・紙片・その他に分類,1180μm以下のダストを微細粒子として強熱後,灰分(土砂)と燃焼分(繊維)に分類した.また,600μm以下のダストを用いてダニの同定と頭数測定を行い,300μm以下のダストを用いてダニアレルゲンをELISA法にて測定した.カビ数はポテトデキロース寒天培地で28℃48時間培養後測定.一般細菌数は標準寒天培地で37℃24時間培養後測定を行った.結果 1.一般家庭のホコリ成分は繊維(綿ボコリ)56.2%,土砂ボコリ27.5%,食物3.53%,毛髪3.02%,紙片1.71%,その他8.04%で、繊維(綿ボコリ)が半数を占め土砂ボコリは3割弱という結果であった.2.ダスト1g中に含まれるカビ数・菌数・ダニ数は各家庭によるバラツキが大きい.これは床材の差によるものと推測され,カーペットを敷いている家庭がダニ数やダニアレルゲン値が高い傾向にある.3.3月,6月,10月度測定を行ったが10月度測定がカビ数・菌数・ダニ数の数値がもっとも高い.昨今は気密性の高い住宅が増えていることと,10月になっても気温が高い日が多いという環境がダニやカビの繁殖時期を延ばしているのではないかと推測される.
著者
宇都宮 由佳
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.193, 2010 (Released:2010-10-15)

目的:ポルトガルは,16世紀の大航海時代に香辛料を求めアジアへ進出してきた.その際にもたらされたポルトガルの菓子が今日でも各地域に残っている.筆者は,これまで日本,タイ,マカオ,マラッカ等で,どのようなポルトガル菓子が伝来し,現地の菓子にどのような影響を与えたのか,また,現在ポルトガル由来菓子は各地域でどのような発展を,あるいは消失したのかについて調査研究をしてきた.本研究では,16世紀から20世紀半ばまでポルトガル領であったインドのゴアに着目し,他の地域と比較しつつ分析をする. 方法:2005年~2009年12月,継続的に各地域の国立図書館,博物館,教会等で資料・文献調査をおこない,現地の菓子工房,ポルトガル系の家庭でヒヤリング調査を実施した. 結果と考察: ゴアは,インド南西部に位置した米食が主体の地域である.交易のみならずアジアへのキリスト教布教の拠点でもあり,フランシスコ・ザビエルもゴアから日本へ出航した.現在でもポルトガル系の子孫が居住しており,3割がキリスト教信者である.ポルトガル菓子は,教会で発達し布教手段の一つとして伝えられている.そのためゴアは,東アジア地域とは異なり,ポルトガル由来の菓子の種類も多く,名称も本国と同一のものもあった.特に,これまで着目してきた「Fios de ovos(鶏卵素麺)」は,Letriaとも呼ばれているが,ポルトガルと作り方,用いられ方がほぼ同じであった.ただし,ポルトガルのように小麦で作った菓子の上にのせるではなく,ライスの上にのせるという違いがある.ポルトガル系キリスト教徒の家庭でクリスマスや結婚式の際に作られ,母から娘へ受け継がれていた.
著者
長谷 博子 林 恵里奈 平尾 竜馬 野浪 亨
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.99, 2010 (Released:2010-10-15)

<目的>公共施設などでは禁煙化が進んでいるが,飲食店などで喫煙者が近くに居ると,衣服などにたばこ臭が付着することがあり,不快に感じることがある.そこで本研究は,たばこ臭の生地への吸着および放散量を明らかにすることを目的とする. <実験方法>たばこに火を点けて1Lのフラスコ内に吊るし,アルミホイルで密封し3分後にシリンジで10ml採取した.無臭空気を満たした3Lのにおい袋に注入し,これを原臭とした.生地試料は,100%の綿,ポリエステル,ウールの平織りを使用した. たばこ臭の吸着は,5×5cmの試験片1枚とたばこの原臭を30倍希釈してにおい袋に入れ,1時間室温で静置した.たばこ臭の放散は,におい袋に24時間たばこ臭を吸着させた試験片と無臭空気を入れて室温で静置した後,においを評価した.たばこ臭の評価は,におい識別装置(島津製作所製)を使用した. <結果および考察>においの強さは,におい識別装置によって算出される臭気指数相当値によって評価した.たばこ臭の希釈倍数と臭気指数相当値との相関係数は,0.942と強い相関が見られたため,たばこ臭の測定が可能であると判断した.30倍希釈のたばこ臭は12であった.生地自体のにおいは,1時間後には,綿:14,ポリエステル:16,ウール:11であった.生地とたばこ臭を入れたにおい袋内の値は,綿:21,ポリエステル:20,ウール:22であった.たばこ臭の放散は,綿:19,ポリエステル:13,ウール:17であった.よって,におい識別装置で評価した結果,たばこ臭はポリエステルに最も吸着し,生地からはウールが最も放散することが分かった.
著者
長山 芳子 深田 祐子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.25, 2010 (Released:2010-10-15)

【目的】人にも環境にもやさしい台所や住まいの洗浄剤として、重曹が普及し始めている。被服および繊維製品では重曹使用によるしみ抜きや部分洗いの効果が謳われている。著者らは人工汚染布を用い重曹の洗浄力が高いことを報告したが、濃度や温度の効果については不明な点が多い。そこで本研究では、油汚れに対する重曹の洗浄力について、オレイン酸の乳化作用の面から検討することとした。 【方法】洗浄剤として重曹(炭酸水素ナトリウム、試薬特級)、石けんとしてオレイン酸ナトリウム(試薬特級)、モデル油汚れとしてオレイン酸(試薬1級)をそのまま使用した。濃度は重曹0~950mM、オレイン酸ナトリウム1.25~5.0mMとし、単独及び混合して用いた。乳化方法は、重曹水溶液20mLとオレイン酸0.1mLを共栓遠沈管に入れ、恒温振とう機(大洋科学工業株式会社M-300) で、往復120rpm、温度20~40℃、時間10min~24hr振とうした。振とう後の水溶液は分光光度計(日本分光V-660DS)でスペクトルを確認後、500nmにおける吸光度を測定し、この値を乳化値とした。pHおよび表面張力(輪環法)も測定した。 【結果】重曹-オレイン酸水溶液は、振とうの短時間側では吸光度0に近く、オレイン酸は水溶液上面に油滴状態で浮遊しており乳化されていなかった。振とう時間の経過とともに吸光度は段階的に上昇し乳化が確認された。振とう3hr後ではいずれの温度も重曹濃度5mMの低濃度から乳化が生じた。振とう後の乳化水溶液を撹拌したところ起泡性が確認された。重曹のみの水溶液では表面張力の低下はわずかであるが、重曹-オレイン酸水溶液では重曹低濃度から表面張力は著しく低下しており、重曹石けんの生成が示唆された。
著者
ロジナ ナターリャ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.163, 2010 (Released:2010-10-15)

未婚者の意識調査結果によると、およそ9割が「いずれ結婚するつもり」だと答えている。結婚願望があるにもかかわらず、結婚できないでいる人が少なくない。自分の家庭を持つことができない人が多数いるということである。 本研究では結婚については 人間の親密圏、ゲマインシャフト的な存在、その必要不可欠だと考え、人が家族を持つべきだという価値前提に立つ。 生まれ育った家族は非選択性の特性があり、自分が築く家庭の際は選択を伴う。親密になる相手を選ぶ余地が生まれる。 配偶者選択の枠組みで未婚者の結婚活動に焦点を当てる。結婚活動の時代における未婚男性の実態を聞きとり調査を通して考察する。 結婚願望を有し、実際に結婚活動を行っている男性の行動や意識を明らかにする。未婚男性の結婚願望(年齢やタイムプレッシャーなど)、本人をとりまく環境について(職場や地域、家族や友人関係など)や婚活を始めた動機ときっかけ、婚活の手ごたえや過程における課題、婚活者の共通点と特徴を探る。生まれ育った家族は非選択性の特性があり、自分が築く家庭の際は選択を伴う。親密になる相手を選ぶ余地が生まれる。交際経験の無いもしくは少ない人が外部で結婚活動しても、魅力の格差(モテ層と非モテ層が確立)が働いているため、成果がみられないままで終わる可能性が高いと考えられる。婚活者の未婚男性の実情と課題を見ていくこととする。
著者
山口 智子 松澤 良江 小谷 スミ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 62回大会(2010年)
巻号頁・発行日
pp.247, 2010 (Released:2010-10-15)

目的 米粉パンはもちもち感やしっとり感があり、米の甘みが感じられ、腹持ちが良いなどの特徴を有している。しかし、小麦パンと比較すると水分含有率が高いため、硬化の進行が早く、作りたての食感を保つことは難しい。そこで本研究では、米粉パンの製造の際にトレハロースを添加することで、保存中に水分含有率と食感が保持できるかどうかを検討することを目的とした。方法 米粉パンの材料として、米粉・食塩・上白糖・オリーブオイル・ドライイースト・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC:SFE-4000、信越化学工業(株))・トレハロース・温湯を用い、180℃で焼成した。その後、ピュアパックに入れ25℃で5日間保存した。そして、保存1、2、3、5日目の試料について、水分含量を常圧乾燥法で、テクスチャー(硬さ、凝集性、付着性)を(株)山電製 卓上型物性測定器TPU-2S(B)を用いて測定した。また、トレハロースを添加した米粉パンと添加していない米粉パンについて、7段階評点法による官能評価を行なった。結果 トレハロースを添加した米粉パンは、保存日数が経過しても水分含有率の低下が少なかった。また、テクスチャーの変化を調べたところ、硬さと付着性の変化は少なく、硬化の進行が抑制される傾向がみられた。しかし、市販の小麦パンに比べるとテクスチャーの変化は大きく、柔らかな食感を保持することはできなかった。官能評価では、トレハロースを添加した米粉パンは添加していない米粉パンよりもきめの細かさやもちもち感、しっとり感などの食感が良いと評価され、総合評価でも有意に良く、好まれることが明らかになった。