著者
大平 幸子 松田 光信 河野 あゆみ
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.100-105, 2020 (Released:2020-08-25)
参考文献数
46

目的:精神障害者のレジリエンスの概念を分析し,その構造を明らかにすることにより,看護実践や研究における有用性を検討することである.方法:43文献を対象として,Rodgersの概念分析アプローチを用いて分析した.結果:属性には3カテゴリー【回復を支える個人的要素】【多側面からのエンパワー】【個人に内在する力の発動】を抽出した.先行要件には2カテゴリー,帰結には3カテゴリーを抽出した.結論:レジリエンスの概念は,回復力を重視することによって精神障害者がその人らしく生きること,そして【人間的な成長】を実現する過程を表す概念である.結果より【回復を支える個人的要素】と【多側面からのエンパワー】の要素が,精神障害者の【個人の内在する力の発動】を可能にすることが明らかとなった.これらの要素の強化により,精神障害者のレジリエンスを高めることができ,精神障害者への支援を検討するうえで有用である.
著者
松田 光信 河野 あゆみ 先谷 亮 Mitsunobu MATSUDA Ayumi KONO Ryo SAKITANI 神戸常盤大学保健科学部看護学科 神戸常盤大学保健科学部看護学科 財団法人松原病院
出版者
神戸常盤大学 :
雑誌
神戸常盤大学紀要 (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-8, 2012

本研究の目的は、早期退院を控えた統合失調症患者の服薬アドヒアランスに影響する要因を探索し、看護実践の示唆を得ることであった。対象者は、精神科急性期治療病棟に入院中の統合失調症患者22名(男性9名、女性13名)、平均年齢44.6±13.0歳、平均罹病期間12.7±13.5年、平均入院回数2.8±3.1回、心理教育参加者15名であった。データ収集は、心理教育開催時期に合わせ、開催前にデモグラフィックスデータ、治療状況、CP換算値、機能の全体的評価、服薬アドヒアランス、服薬と病気の知識を測定し、開催後にCP換算値、機能の全体的評価、服薬アドヒアランス、服薬と病気の知識を測定した。データ分析には、強制投入法による重回帰分析を用いた。結果、服薬アドヒアランスへの影響要因は、年齢、罹病期間、職業、心理教育参加、心理教育開催前の服薬アドヒアランス(MPS、DAI-10)であり、モデル全体の78 ~ 86%が有意に説明された。これより、患者の個人特性を考慮した服薬アドヒアランスを高める支援を模索する必要性と、心理教育が患者の服薬アドヒアランス改善に向けた看護援助になり得ることが示唆された。