著者
松田 実樹 杉本 浩章 上山崎 悦代 篠田 道子 原沢 優子
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.167-176, 2015

本研究は、特別養護老人ホームでの終末期ケアにおける専門職間協働の現状と課題を明らかにし、特別養護老人ホームでの看取りのための専門職間協働のあり方を検討することを目的とした。 調査対象は、終末期ケアに携わる看護師、介護福祉士、社会福祉士(2 名)の計4 名とし、グループインタビューを行った。得られたデータは、内容分析を行いカテゴリー化した。 その結果、専門職間の役割を理解した上での支援、看取りケアに対する認識など10 のカテゴリーが生成された。 現状として、連携と協働を意識したチームケアの試みがされていたが、多職種で情報共有するための仕組みについては、専門価値に基づく思いまで共有するに至っていないことが挙げられた。利用者の状態が変化する中、チームで利用者を支える為には、ケアの背景にある専門職の思いをいかにして他職種に伝えていくかが課題となり、それらを共有、理解できるシステムつくりが求められることが示唆された。This study aims to reveal the current situation and issues of Inter Professional work in End-oflife Care at special nursing homes for the aged and consider the roles of inter professional work. The subjects of the study are four people including a nurse, a certified care worker, and social workers engaged in end of care, and a group interview was conducted with them. The data obtained was analyzed and then categorized. As a result, 10 categories including support based on understanding of the roles of the professionals and recognition about nursing care were generated. Although the interviewed professionals are currently attempting to provide teamwork-based care on the basis of partnership and cooperation, when it comes to information-sharing systems among various professionals, they fall short of sharing their thoughts based on their professional values. Therefore, there exists a need to consider how the thoughts of professionals, that form the basis of care to the aged, are conveyed to other professionals to support users as a team when the situations of the users are changing and that systems on Inter Professional work is required to facilitate such information exchange.
著者
趙 敏廷 谷口 敏代 原野 かおり 松田 実樹 谷川 和昭
出版者
日本介護福祉学会
雑誌
介護福祉学 (ISSN:13408178)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.152-158, 2013-10-01

[目的]本研究は,日本介護福祉学会が創設20年という節目を迎えたことを踏まえ,これまでの介護福祉学の研究傾向について振り返り,これからの介護福祉学に求められる学問研究の蓄積について示唆を得ることを目的とした.[方法]分析の対象は,『介護福祉学』(創刊号〜第18巻第2号)の掲載論文の公表時期および論文タイトルであり,KH Coderを用いてテキストマイニング分析を行った.[結果]その結果,上位150語の頻出語からは研究傾向や特徴が確認できた.また,共起ネットワークからは8つのカテゴリーを作成,介護福祉学の研究傾向におけるキーワードが抽出できた.さらに,対応分析からは研究村象と研究方法の視点から論文公表時期別における一定の研究傾向がみられた.[考察]これらの結果から今後「介護福祉学」の蓄積に向けた学問研究においては,社会のニーズにこたえるといった役割をにないつつ,実証的研究の積み重ねに向けた努力がさらに求められることが示唆された.