著者
岸野 俊彦 西田 真樹 鈴木 重喜 松田 憲治
出版者
名古屋芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、尾張藩研究の現状が、個別「分野史」に偏り、また「自治体史」により総合化の視点が分断された状況を克服し、個別分野史を総合的に捉えること、現代の自治体によって分断され見えにくくなっている尾張藩という個別藩を近世社会の実際の結び付きの中で、出来る限り総合的に復元するという最も原初的方法によって明らかにすることに力点を置いた。本研究上の意義は、方法論的にはこうした素朴な方法こそが、現在の個別藩研究の上では「新しい」方法であると提起するところにあり、「総合化」をキーワードに研究を統合するところにある。同時に大学等研究機関に所属せず、地域に密着して研究に従事する研究者を組織し、これまで蓄積された個々の知見を「総合化」のキーワードの下に研究内在的にも「総合化」し、新たな研究上の成果の構築に寄与する組織を恒常的に編成することである。上記二つの研究上の意義は支配構造に限らない尾張藩の地域社会や文化構造も視野に入れた新しいスタイルの個別藩研究の成果として『尾張藩社会の総合研究』(2001年3月20日刊、清文堂出版、総頁数600頁)として完結した。