著者
星野 明子 桂 敏樹 松谷 さおり 成木 弘子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.21-29, 2000-05-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
24
被引用文献数
6

本研究の目的は, 地方都市における地域組織活動として位置づけられる保健推進員活動が, 活動参加者の心理的側面に与える影響を明らかにすることである. 対象は, 保健推進員活動の成員356名である. 調査項目は, 対象者の属性 (年齢, 学歴, 仕事の有無, 経済的ゆとり, ボランティア・福祉への関心, 以前の活動経験の有無) と, 主観的健康感, 活動満足度および自尊感情, 自己効力感, 自己実現的価値観である.その結果, 以上のことが明らかになった.1. 年齢とボランティア・福祉への関心は, 保健推進員の活動満足度を強めた.2. 活動満足度と経済的ゆとりは, 自尊感情を強める要因であった.3. ボランティア・福祉への関心と活動経験年数は, 自己効力感を強める要因だった.4. 年齢は自己実現的価値観を弱め, 活動満足度, 学歴, 経済的ゆとりは, 自己実現的価値観を強める要因であった.保健推進員活動は, 対象者のボランティアへの関心を満足させることで, 活動満足度を強め, 自尊感情と自己実現的価値観に影響を与えることが明らかになった.今後の課題として, 活動参加者に対する地域組織活動の効果を明らかにするために, 保健推進員の心理的側面 (自尊感情, 自己効力感, 自己実現的価値観) を縦断的に検討していくことが必要と思われた.