著者
松野 年宏 市川 眞一 井田 哲雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.966-967, 1990-03-14

本稿では,われわれの開発したLisp-Prolog融合処理系MC(Meta Computing environment)の概要を述べるとともに,MCによるアプリケーションプログラム開発を通じて得た,融合の効果についての評価を行う.計算機によって処理される問題が拡大し,またそれらの複合問題の解決が要求されるにつれ,それを記述するためのプログラミング言語に要求される機能は多様化してきている.この要請に対する解決には,強力な新言語を開発する,あるいは,既存のプログラミング言語に適切なインターフェイスを設ける,という2つのアプローチが考えられる.MCでは,既存ソフトウェア資産,およびプログラミングノウハウの継承という現実的な配慮から後者のアプローチをとり,記号処理分野で広く利用されているLispとPrologの融合を図った.Lisp-Prolog融合処理系自体は決して新しいものではないが,その効果についての評価は未だに定まっていない.われわれは,MCによる実際的アプリケーションの開発により,Lisp-Prolog融合処理系が単なる研究的興味の対象ではなく,プログラム開発の効率化に有効であるとの評価を得た.
著者
井田 哲雄 松野 年宏
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュ-タソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.p149-163, 1991-03

本論文はMC/LISPと呼ぶCOMMON LISPに基づいて実現されたLISP処理系の翻訳系の構成を述べたものである.翻訳系はプログラム変換系とコード生成系より成っている.LISPのプログラムはFP/Cと呼ぶカテゴリ風プログラムに変換される.次にFP/Cのプログラムが翻訳関数によって翻訳されコード生成が行われる.プログラム変換は実行時の環境を単純なものとするために,および翻訳の過程を形式的に把握するために不可欠である.この考えに基づきLISPの基本的計算機構のプログラム変換の規則とコード生成の規則を形式的に与えている.