著者
猪井 新一 板垣 信哉 マホニー ショーン 吉田 孝
出版者
奥羽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究の目的は、日本人英語教師(JTE)及び英語指導助手(AET)が協同して行うテイームテイーチング(TT)の背後には「教師の役割」や「英語教授・学習」に関して相対立する考え方(信念)が存在するという前提に立ち、両者の考え方の類似点・相違点を探り、JETプログラムの改善に向けて文部省に提案を行うことである。平成11年度はTTに関するアンケート作成、配布及び回収、データ入力を行った。平成12年度はデータの量的分析及び理論的枠組みを用いての質的分析を行い、分析結果を国内外の学会で発表した。量的分析の結果からは「英語教授・学習」等に関わる数多くの項目に関して、JTEとAET間には相対立する考えが存在することが統計的に証明された。質的分析においては、JETプログラムの目的が伝達手段としての英語教育と、国際理解としての英語教育の間で揺れ動いていることが明らかにされた。TTの問題点を論じる際、JTE及びAETは実は同じ問題を異なる視点から捉えていたり、逆に異なる問題を同じ視点で認識している場合があり、そのために不必要な誤解が生じていることを明らかにした。以上のような分析からJETプログラムの改善に向けていくつかの提案を行った。1.TTの授業の打ち合わせを行うために、JTE側の時間的ゆとりが必要であること、AETはベーススクールを持つこと。2.JETプログラムは中学校・高校で国際理解教育というよりはコミュにケーション手段としての英語教育に力点をおくべきである。そのためにも、入学試験にリスニング等を採用すること、ワンショットレッスンを減らすことが必要である。3.JTEが効果的にTTを実施していくには研修および海外渡航経験が重要であり、そのための勤務上、財政上の支援が必要であること。4.同種の調査・研究では量的分析と同時に、一定の理論的枠組みに沿った質的分析が必要であること。
著者
板垣 信哉 杉山 恵 久保田 佳克
出版者
全国英語教育学会
雑誌
ARELE : annual review of English language education in Japan (ISSN:13448560)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.31-40, 2003-03

This paper reports the results of analyses of learner metatalk about Japanese language, English language, and English grammar while attempting to perform two types of "output-oriented" grammar exercises. Subjects were asked to write down their "retrospective reports" on how they performed the exercises. The data was then analyzed on the basis of the theoretical framework of the Output Hypothesis (Swain, 1985, 1998). It was found that the type and amount of metatalk were largely dependent on the type of grammar exercises and the English proficiency level of subjects. The results are also discussed in reference to grammar teaching as well as the three language learning functions of output; "noticing," "hypothesis-testing," and "metatalk."