著者
板橋 繁
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.161-170, 2007-06-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
15

重症肺炎に対する抗菌化学療法の治療効果向上を目的として, Pharmacokinetics/Pharmacodynamics (PK/PD) 理論に基づいたメロペネム (MEPM) の投与条件の検討を行った。重症肺炎患者42例を対象にMEPM (0.5g, 1日2回) の30分~1時間点滴 (1時間群: 24例) と4時間点滴 (4時間群: 18例) による臨床効果を比較検討した。治療に要したMEPMの投与日数およびCRPの低下率には両群問で差が認められなかったが, 死亡率に関しては, 1時間群の37.5%に対して, 4時間群では5.6%と有意 (P<0.05) に優れた救命効果を示した。本検討においては, 各患者における起炎菌のMEPM感受性およびMEPMの血中濃度推移を実測確認できていないものの, 4時間群において認められた優れた救命効果は, 点滴時間の延長によりもたらされたTime above MICの延長を主たる要因とするものであると考えられた。この結果から, MEPMの点滴時間の延長は重症肺炎に対する本剤の臨床効果を向上する上で有用であることが示唆された。