著者
林 俊春 内海 文枝 高橋 令治 藤原 公策
出版者
日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.197-210, 1980
被引用文献数
1 13

臨床および病理学的に非滲出型の伝染性腹膜炎(FIP)と診断されたネコ7例について病理組織学的に検索した. 病理組織学的変化は滲出型と同じで, 主として腎, 肝, 腸間膜リンパ節, 肺, 脳, 眼に見られる血管炎および壊死をともなう肉芽腫性炎であった. 非惨出型自然例のうち1例の腎由来の材料を接種された12例の仔ネコには, 滲出型(10例), 非滲出型(2例)の両型が発現した. 自然例および伝達例の観察から, 壊死病変に先行して初期には大単核細胞におけるウイルス増殖が注目された.
著者
中市 統三 笹木 祐司 長谷川 恵子 森本 将弘 林 俊春 板本 和仁 宇根 智 田浦 保穂
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.829-833, 2005-12-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

5歳齢のラブラドール・レトリーバーが3週間前に急性に発症した四肢麻痺の精査を希望して来院した. 神経学的検査では左前肢は下位運動神経徴候, 両後肢は正常あるいは上位運動神経徴候を示しており, 第6頸髄から第2胸髄の脊髄分節における障害と考えられたが, 単純X線検査では脊椎に異常所見は認められなかった. 磁気共鳴画像診断では第6頸髄内の左側にT1強調画像で等信号, T2強調画像で高信号を示し, 増強効果をほとんど示さない病変が認められ, 線維軟骨塞栓症 (FCE) と仮診断した. 病理解剖の結果, 同部位に脊髄の虚血性梗塞像が認められ, さらにその周辺の血管内に線維軟骨が確認できたことから, 本症例はFCEと確定診断された.