著者
武内 亮 宇根 智 川田 睦
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.6-11, 2022 (Released:2022-09-22)
参考文献数
13

19ヶ月齢のボルゾイ犬の左側橈骨骨肉腫に対して部分的断脚術を行ったところ、6ヶ月後に左側腋窩リンパ節および左側浅頚リンパ節転移が生じ、顕著な疼痛を示した。内科的治療による疼痛緩和効果が不十分であったため、リンパ節の外科的切除を行ったところ、疼痛は消失した。転移したリンパ節による腕神経叢の物理的圧迫に加え、リンパ節の急速な腫大に伴う壊死や出血が疼痛の原因となる可能性があり、転移巣の切除によりQOLが向上しうると考えられた。
著者
中市 統三 笹木 祐司 長谷川 恵子 森本 将弘 林 俊春 板本 和仁 宇根 智 田浦 保穂
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.829-833, 2005-12-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

5歳齢のラブラドール・レトリーバーが3週間前に急性に発症した四肢麻痺の精査を希望して来院した. 神経学的検査では左前肢は下位運動神経徴候, 両後肢は正常あるいは上位運動神経徴候を示しており, 第6頸髄から第2胸髄の脊髄分節における障害と考えられたが, 単純X線検査では脊椎に異常所見は認められなかった. 磁気共鳴画像診断では第6頸髄内の左側にT1強調画像で等信号, T2強調画像で高信号を示し, 増強効果をほとんど示さない病変が認められ, 線維軟骨塞栓症 (FCE) と仮診断した. 病理解剖の結果, 同部位に脊髄の虚血性梗塞像が認められ, さらにその周辺の血管内に線維軟骨が確認できたことから, 本症例はFCEと確定診断された.