著者
王 敏東 林 益泓 仙波 光明
出版者
徳島大学
雑誌
言語文化研究 (ISSN:13405632)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.119-145, 2011-12

本研究は2011年3月11日に起きた東日本巨大地震の留学生への影響を調査したものである。具体的には2011 年3~6月に日本に留学していた(またはしている、しようとしている)学生15人(台湾人13人、韓国と中国大陸人各々1人)に対するインタビューをまとめた。また、直接インタビューしたわけではないが、メール等の形で、地震当時日本にいた引率の先生、そして台湾の日本語学科を卒業後ワーキング・ホリデーで日本に行っている人、あわせて4人(いずれも台湾人)の意見も得た。基本的には日本に留学までした学生はもともと日本のことがかなり好きで、今回の地震が発生する遥か前より留学しようと考えていた者が多い。多くの留学生たちは、何もかもよく見えていた日本で今回起きた地震を、最初は驚き、痛々しく思ったが、心のどこかに蓄えていた日本に対する信頼で、敢えて家族の反対を押し切り自分の夢を追うように留学に踏み切った。それに対して、日本に不信感を抱いた人ももちろんいるが、少数である。