著者
林野 友紀 高遠 徳尚
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

木曾シュミット望遠鏡の広視野(50文角×50文角)2Kccdカメラにおいて、本課題で購入した狭帯域(NB)・中帯域(MB)フィルターシステムを用いて撮像観測を行ない、低分散分光サーベイを行なってきた。平成9年度はNB(BW【approximately equal】200Å、CW=4300〜5550Å)9バンドを中心にクェーサー(QSO)輝線サーベイを行ない、V<20.6等級の約5,000天体の中から、赤方偏移z=2.4〜3.6のQSO候補7個を見出した。平成10、11年度は、長波長測に設定したMB(BW【approximately equal】450Å、CW=5750〜7950Å)6個の天体のR(波長分解能)【approximately equal】15分光データから、z【approximately equal】4銀河候補を10個見出した。これらのhigh z 銀河候補は、スペクトルの長波長側がフラットで、6200ないし6610 Aバンドの短波長側が約1等級暗くなっており、更にBバンドが非常に暗いという特徴を備えるもので、z>4の星生成の活発な若い銀河に特有のスペクトルである。なお、木曾で行なった本課題のNB/MBフィルターサーベイの経験は、すばる望遠鏡主焦点用R23フィルターシステムの設計製作に反映されており、更に今後のすばるNBサーベイ観測・解析においてもその経験を活かすことが期待される。