- 著者
-
中西 正尚
山田 賢
中原 弘美
田村 康夫
- 出版者
- 一般財団法人 日本小児歯科学会
- 雑誌
- 小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.5, pp.669-679, 2005-12-25 (Released:2013-01-18)
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
-
2
本研究は,授乳方法と口腔機能発達との関連を検討する目的で,2歳児から5歳児の1357名(平均年齢3歳7か月)の保護者を対象にアンケートによる調査を行いその結果を分析,検討した.出生後3か月までの授乳方法から母乳哺育群(Br群),混合乳哺育群(Mix群),人工乳哺育群(Bo群)の3群に分類すると,Br群が399名(29.4%),Mix群が811名(59.8%)で,Bo群が147名(10.8%)であった.離乳に関して,離乳食開始時期,離乳食終了時期,断乳時期ともに授乳方法問に差は認められなかった.現在の食べ方について,18項目中,咀嚼の上手下手,前歯で噛みきる食べ物,食べ物の吐き出し,食べこぼし,食生活のリズム,食事の自立の6項目において群間の有意差が認められ,いずれもBr群が良好な発達を示していた.その他の関連項目で,吸指癖,おしゃぶり,言語発達の遅れ,性格面に有意差が認められた.以上より,アンケートではBr群が全体的に良好な咀嚼発達を示し,Bo群の食行動に一部問題がみられたことから,授乳方法はその後の咀嚼の発達に少なからず影響を及ぼしていることが示唆された.