著者
柳瀬 龍二 平田 修 松藤 康司 花嶋 正孝
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.12-23, 2009 (Released:2009-05-29)
参考文献数
19
被引用文献数
3

1983年,水銀を含む乾電池が使用済み後に埋立処分され,乾電池から水銀が流出し環境汚染が懸念されるとして,大きな社会問題となった。筆者らは,1985年より乾電池と廃棄物を混合充填した大型埋立実験槽を用いて,水銀の浸出水への流出や水銀の気化特性等を長期にわたって調査研究してきた。本報は,埋立10年間にわたる嫌気性埋立実験と,埋立20年間にわたる準好気性埋立実験の結果を基に,埋立地における水銀の流出特性を比較検討した。埋立20年間に埋立実験槽から流出した水銀は総水銀量の2%以下であり,浸出水への流出は0.2%以下と小さく,大気拡散による流出が大部分を占めていた。埋立10年後,20年後に回収した乾電池は外装が腐食し,乾電池中の6%前後の水銀が乾電池から廃棄物層へ移行していた。また,埋立層内が嫌気性雰囲気の方が水銀の流出を抑制していた。したがって,埋立20年後も90%以上の水銀が埋立地に残存し,水銀の流出は極めて小さかった。
著者
正本 博士 織田 貴雪 森田 健太郎 重松 幹二 松藤 康司 柳瀬 龍二
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第19回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.234, 2008 (Released:2008-11-25)

2006年以降廃石膏ボードの処分方法の変更に伴い管理型最終処分場への埋立量が増加している。管理型最終処分場内では有機物が共存することにより硫化水素の発生が懸念されその対策が急務となっている。本研究では、廃石膏ボードと他の廃棄物を混合埋立することにより硫化水素の発生を抑制することを試みた。また、準好気性、嫌気性での埋立構造の違いについても検討した。その結果次の3点の内一つ以上が実現できれば硫化水素は発生しなかった。(1)浸出水のpHが9以上の強アルカリ性。(2)浸出水のTOCが30mg/l以下。(3)埋立構造を嫌気的にしない。更にこれらの条件が満たされなくても(4)廃石膏ボードと焼却残渣を混合埋立することで硫化水素の発生を抑制することが可能であった。そのメカニズムについて考察したところ、浸出水のpHと廃棄物中に含まれる鉄分が硫化水素発生抑制に貢献していることが分かった。
著者
伊東 賢生 川瀬 敬三 平田 修 柳瀬 龍二 加藤 貴史 高岡 昌輝 日下部 武敏 高橋 史武
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第33回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.397, 2022 (Released:2022-11-30)

廃水銀の中間処理・処分方法に関しては廃水銀を硫化設備で硫化し、硫化水銀の固化体を処分すると定められている。筆者らは、水銀廃棄物の埋立手法を確立するため、埋立地における水銀の環境リスクを低減させる最適条件として、黒色硫化水銀のセメント固化体を準好気性埋立地の中層部(非滞水部)に処分する手法を提案した。そこで、水銀廃棄物の埋立処分において、さらに水銀の流出リスクの低減化手法を確立させるため、水銀廃棄物固化体に注目し、作成手法の異なる3種類の固化体(改質硫黄固化体、エポキシ樹脂固化体、低アルカリセメント固化体)を用いた埋立実験を2020年7月より開始した。その経過20ヶ月間の浸出水への水銀流出は、水銀廃棄物固化体を実験槽中央部に埋立処分した場合、いずれの埋立手法においても、水銀流出率は0.000006%以下となり、固化体から浸出水への水銀流出はほとんどないと考えられた。