著者
高橋 史武
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.III_307-III_314, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
25

水銀はその毒性の高さから水俣条約(2015年)など国際的な規制が強化されつつある。水銀が環境へ排出される際の環境リスクを推定するには、水銀の環境動態をモデルシミュレーションし、最終的に水銀曝露量を求める必要がある。しかし環境動態モデルは多くのパラメータを必要とし、そのパラメータ値は環境に応じて数桁の範囲で変化する。本研究はパラメータ値の不確実性を統計分布解析によって定量化し、推定される水銀曝露量の不確実性を評価した。想定したモデルケースにおいて、モデルパラメータの不確実性のため水銀曝露量は8桁もの大きな変動幅を示した。魚介類の摂取量などの社会的条件よりも生物濃縮係数などの環境的条件に関わるパラメータが水銀曝露量に大きな影響を与えた。上記の不確実性を加味して水銀曝露量が耐容摂取量を超える確率を計算したところ、1.78%と評価できた。本手法は環境リスクの市民的理解を促す可能性がある。
著者
伊東 賢生 川瀬 敬三 平田 修 柳瀬 龍二 加藤 貴史 高岡 昌輝 日下部 武敏 高橋 史武
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第33回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.397, 2022 (Released:2022-11-30)

廃水銀の中間処理・処分方法に関しては廃水銀を硫化設備で硫化し、硫化水銀の固化体を処分すると定められている。筆者らは、水銀廃棄物の埋立手法を確立するため、埋立地における水銀の環境リスクを低減させる最適条件として、黒色硫化水銀のセメント固化体を準好気性埋立地の中層部(非滞水部)に処分する手法を提案した。そこで、水銀廃棄物の埋立処分において、さらに水銀の流出リスクの低減化手法を確立させるため、水銀廃棄物固化体に注目し、作成手法の異なる3種類の固化体(改質硫黄固化体、エポキシ樹脂固化体、低アルカリセメント固化体)を用いた埋立実験を2020年7月より開始した。その経過20ヶ月間の浸出水への水銀流出は、水銀廃棄物固化体を実験槽中央部に埋立処分した場合、いずれの埋立手法においても、水銀流出率は0.000006%以下となり、固化体から浸出水への水銀流出はほとんどないと考えられた。