著者
柴田 徹平
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.134-145, 2015-03-30 (Released:2018-02-01)

バブル経済崩壊後,建設市場が急速に縮小する中で,企業が一人親方を安価な労働力として活用するようになった。こうした中で,先行研究において一人親方の賃金の低さが指摘されてきたが,生活保護基準以下の賃金しか得られない一人親方の量的把握を行った研究はない。従って,本研究の目的は,生活保護基準を下回る賃金を得ている一人親方の量的把握を行うことである。本研究で明らかになったのは,以下の点である。第一に一人親方の42.4%にあたる人の賃金が生活保護基準を下回っていること,第二に,生活保護基準を下回る一人親方の比率は,高齢世帯と就学児童のいる世帯で特に高いこと,第三に,生活保護基準を下回る一人親方の比率は,一般労働者より低いとはいえず,職種によっては一般労働者よりも高いこと,である。
著者
柴田 徹平
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.253-275, 2017-10-10

2000年代半ば以降,大手製造業の現場で行われていた偽装請負が大きな社会問題になった。一方で建設産業においても同時期に偽装請負が行われていた。本稿では,建設産業における個人請負化の新たな段階として,2000年代以降に増加した偽装請負の問題を取り上げる。明らかになった点は以下のとおりである。 第1 に,一人親方の働き方の1 つである常用型の70.2%が偽装請負の下で働かされていることを明らかにした。第2 に,下請の重層化と90年代後半以降の零細企業を取り巻く厳しい経営状況の下で,下請零細企業に雇用されていた労働者が就業実態は変わらずに,契約形態のみ請負に切り替えられる(常用型化する)という偽装請負の状態に直面していたことを明らかにした。第3 に,零細企業が偽装請負を行っている背景には,元請ないし上位の下請などの大企業が現場労働者を直接雇用しない中で,零細企業が現場労働者の雇用を担い,その雇用の負担がのしかかる中で,やむにやまれず偽装請負が生じていること,の3 点を明らかにした。
著者
柴田 徹平
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.49, pp.253-275, 2017

2000年代半ば以降,大手製造業の現場で行われていた偽装請負が大きな社会問題になった。一方で建設産業においても同時期に偽装請負が行われていた。本稿では,建設産業における個人請負化の新たな段階として,2000年代以降に増加した偽装請負の問題を取り上げる。明らかになった点は以下のとおりである。 第1 に,一人親方の働き方の1 つである常用型の70.2%が偽装請負の下で働かされていることを明らかにした。第2 に,下請の重層化と90年代後半以降の零細企業を取り巻く厳しい経営状況の下で,下請零細企業に雇用されていた労働者が就業実態は変わらずに,契約形態のみ請負に切り替えられる(常用型化する)という偽装請負の状態に直面していたことを明らかにした。第3 に,零細企業が偽装請負を行っている背景には,元請ないし上位の下請などの大企業が現場労働者を直接雇用しない中で,零細企業が現場労働者の雇用を担い,その雇用の負担がのしかかる中で,やむにやまれず偽装請負が生じていること,の3 点を明らかにした。