著者
鈴木 友里亜 久光 一誠 伊澤 千尋 柴田 雅史
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.94, no.8, pp.219-224, 2021-08-20 (Released:2021-08-27)
参考文献数
10

保湿剤水溶液の感触評価方法として,官能評価用語を用いない群分類法を考案し,その群分類結果と物性測定による群分類との対応を調べた。大学生を評価者として,10種の保湿剤間でその感触の差異を識別する三点識別比較試験を行った。二種類の保湿剤の感触が類似していれば識別しにくくなり,正答率が低くなることから,正答率によって保湿剤間の類似性が定量化されると考えられる。そこで主座標分析を用いて識別正答率の高低に基づく群分類を行ったところ,保湿剤は感触の類似性の高い三つの群といずれの群にも含まれない2種に分類された。各保湿剤水溶液について,肌に塗布した際の摩擦抵抗値・引き離し応力の測定と法線応力測定を行い,その大きさならびに経時変化の特徴に基づいて群分類を試みたところ,上記の感触評価による分類と対応する群分類が可能であった。
著者
清水 太基 平野 諒 韓 力 山之内 智 柴田 雅史
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.268-274, 2017-08-20 (Released:2017-09-27)
参考文献数
9

高度精製オレンジラフィー油(Orange roughy oil)は高級脂肪酸と高級アルコールのエステルからなる海洋性天然ワックスエステルであり,性状としては化粧品の代表的な植物性天然ワックスエステルであるホホバ油(Jojoba oil)ときわめて類似していることが知られている。今回,オレンジラフィー油とホホバ油との化粧品素材としての性能差を検討した。基本的な物理的性質として,オレンジラフィー油は,ホホバ油よりも粘度が低く,極性が高く,表面張力が低かった。しかし,それらの違いは,皮膚に適用したときの感触の違いが検出できない程度であった。一方,化粧品に配合すると,製品の特性の差がより顕著になった。ミツロウを用いた油性ゲルは,オレンジラフィー油のほうがより柔らかい質感をもたらし,またオレンジラフィー油を含むリポソーム分散液は,唇からの水分蒸散をより効率的に抑制した。さらに,O/W型乳液では,皮膚への広がり性に優れており,軽くて滑らかな塗布感触の乳液が得られた。
著者
清水 太基 平野 諒 韓 力 山之内 智 柴田 雅史
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.268-274, 2017

<p>高度精製オレンジラフィー油(Orange roughy oil)は高級脂肪酸と高級アルコールのエステルからなる海洋性天然ワックスエステルであり,性状としては化粧品の代表的な植物性天然ワックスエステルであるホホバ油(Jojoba oil)ときわめて類似していることが知られている。今回,オレンジラフィー油とホホバ油との化粧品素材としての性能差を検討した。</p><p>基本的な物理的性質として,オレンジラフィー油は,ホホバ油よりも粘度が低く,極性が高く,表面張力が低かった。しかし,それらの違いは,皮膚に適用したときの感触の違いが検出できない程度であった。一方,化粧品に配合すると,製品の特性の差がより顕著になった。ミツロウを用いた油性ゲルは,オレンジラフィー油のほうがより柔らかい質感をもたらし,またオレンジラフィー油を含むリポソーム分散液は,唇からの水分蒸散をより効率的に抑制した。さらに,O/W型乳液では,皮膚への広がり性に優れており,軽くて滑らかな塗布感触の乳液が得られた。</p>
著者
チャイキェンカイ アマタ 竹下 侑花 柴田 雅史
出版者
Japan Society of Colour Material
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.439-448, 2012-11-20
被引用文献数
1

Fe源,構造形成剤の除去方法およびメソポーラスシリカの型がFe含有メソポーラスシリカの紫外線吸収能に与える影響を検討した。また,これらFe含有メソポーラスシリカの紫外線防御剤としての可能性を,薄膜にしたときの紫外線透過性,外観色,光触媒活性により評価した。<br>FeアセチルアセトナートをFe源としたMCM-41型を焼成した試料が最も良好な紫外線吸収能を示した。ただし,鉄濃度が高くなる(Fe/Si ≥ 0.02)と薄茶色の外観となった。一方,FeアセチルアセトナートをFe源としたHMS型またはMCM-41型で溶媒抽出によって構造形成剤を除去した試料は紫外線吸収能は前述のものより劣るものの外観色は白色であった。<br>焼成したFe-MPS試料(Fe/Siモル比=0.02)の水分散物の薄膜は,シリカ表面処理をした酸化チタン水分散物と同程度の紫外線透過挙動であった。また光触媒活性もみられなかった。これらのことからFe含有メソポーラスシリカは紫外線吸収剤としての可能性があるものと考えられる。