著者
柿坂 庸介
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.209-215, 2023-04-25 (Released:2023-09-07)
参考文献数
21

筆者は医学科生に対し2013年より「症例報告の書き方」講義と執筆指導を開始した. 講義では, まず症例報告の教育的意義 (疾患理解, 論理的思考, 発信力ならびに臨床推論力の向上) を強調する. ついで新規点ならびに臨床的意義を明確にする重要性を示す. 次に執筆過程を4分割しそれぞれに目的と具体的行動を設定し, 実症例を提示しながら解説する. 執筆指導では症例報告における「要修正部位に対し資料を示しながら, 具体的な訂正法を提示する」介入により, 医学領域の作文学修における転移を促す教育法を模索している. 講義のアーカイブ化と学生の自律的成長を促す環境構築により, 本教育は持続可能な医学教育文化となりうる.
著者
鈴木 健大 柿坂 庸介 北澤 悠 神 一敬 佐藤 志帆 岩崎 真樹 藤川 真由 西尾 慶之 菅野 彰剛 中里 信和
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.167-171, 2017-02-01

症例は28歳女性。てんかん発症は19歳。頭部MRIで右傍シルヴィウス裂に多小脳回を認めた。発作症状は,体性感覚前兆,意識減損発作,健忘発作など多彩であった。家族より,寝言が多い翌日は発作が増加する,との病歴が聴取された。長時間ビデオ脳波モニタリングにより「寝言」は右半球性起始のてんかん発作と判明した。医療者は「寝言」が発作症状である可能性を念頭に置き,積極的に病的な「寝言」の存在を聴取する必要がある。