著者
柿本 真代 カキモト マヨ Kakimoto Mayo
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
キリスト教社会問題研究 = The Study of Christianity and Social Problems (ISSN:04503139)
巻号頁・発行日
no.68, pp.61-89, 2019-12-20

論説(Article)本稿は児童文学研究の観点から、イギリスの児童文学Peep of Dayシリーズの受容と、日本における翻訳とその影響について考察した。Peep of Dayとその続編Line upon Line、Precept upon Preceptは教派や地域を問わず、明治初期の宣教師による教育活動に頻繁に用いられていたことが明らかになった。また、長老派のカロザースやアメリカン・ボードのジュリア・ギューリックがそれぞれ翻訳を手掛けたが、訳文はともに漢字を読めない人々にも読めるような工夫がなされおり、伝道を目的としながら同時に子どもや女性に書物を届けようとする試みでもあった。
著者
柿本 真代 Kakimoto Mayo
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要. 人間生活学部篇 (ISSN:21853363)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.59-69, 2017-03-31

本論文の目的は,少年雑誌に残された書き入れから,明治期の雑誌と青少年の読書の実態を検討することにある.明治期の少年・少女雑誌と読者については,これまで投稿欄の分析を中心に多くの研究が蓄積されてきたが,本稿では雑誌から読み取れる読書のあり方を相対化し,個々の読書実践についてより具体的に明らかにするべく,雑誌本体に残された書き入れを用いた.国文学研究資料館・東京大学大学院法学政治学研究科附属近代日本法政史料センター明治新聞雑誌文庫・大阪府立中央図書館国際児童文学館で調査を行った結果,感想や批評など,多様な読書反応の記録が浮かび上がった.