著者
栗原 恒弥 宮田 なつき
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会誌 (ISSN:02859831)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4B, pp.539-546, 2004 (Released:2006-05-18)
参考文献数
14
被引用文献数
1

本論文では,医用画像 (CT) を用いて変形可能な手のCGモデルを生成する方法を提案する.複雑に変形する手の形状を表現するためには,正確なリンク構造の推定と,姿勢に依存した皮膚の変形を実現する必要がある.このため,提案手法では,医用画像を用いて複数の姿勢における,骨格形状,皮膚形状を同時に取得し,これらを用いて変形可能な手のモデルを生成する.提案手法は,以下の3つのステップからなる.第一に,複数姿勢における手の骨格形状から,骨格のリンク構造(各関節の回転中心,回転角度)を推定する.次に,各姿勢における皮膚表面形状を同一構造のポリゴンメッシュに変換する.具体的には,ある姿勢の皮膚表面形状(以下基準形状と呼ぶ)を変形,フィッティングすることで,別の姿勢の形状を表現する.このために,まず基準形状を,求められた関節中心および関節角度を用いて変形する.さらに,変形された形状を計測データに対話的にフィッティングすることで,同一構造のポリゴンメッシュを得る.最後に,求められたリンク構造と皮膚形状をpose space deformationによって補間して,皮膚形状の変形を表現する.CT画像を用いた実験を行い,約50,000頂点から構成される複雑な手の形状変形を実現した.