- 著者
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中村 妙子
奥田 眞紀子
松本 しのぶ
栗林 千幸
- 出版者
- 奈良佐保短期大学
- 雑誌
- 研究紀要 (ISSN:13485911)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, pp.35-43, 2006
自然や季節感を大切にしてきた高齢者は,生活空間の中で季節感を感じることでイメージが広がり,より心地よさを感じると思われる.その季節感は,季節の物だけでなく,色によっても演出することができるのではないかと考え,季節感と色の関係を系統的な色票を用いて検討した.カラーサンプルとして,日本色彩研究所の新配色カード 199cを使用し,ランダムに並べ替えた色票を光源ボックスの中に入れ,20歳前後の学生20名に,"春","夏","秋","冬","感じない"のいずれかに評価してもらった.その結果,春はピンク系が,夏は青系が,秋は茶系が,冬は,彩度の低い色が上位を占めた.季節のイメージを調べると,春は桜,夏は海,秋は紅葉,冬は雪が,突出して選ばれ,季節に代表される自然が,季節の色に最も大きな影響力を及ぼしていた.逆に言えば,季節の色からそれらの事がイメージできると考えられるその結果,季節に代表される自然が,季節の色に最も大きな影響力を及ぼしていた.季節の色を,色相,トーン別に分析すると,以下のように季節ごとに明らかな傾向が見られた.春・・・色相:ピンク系,黄緑系,緑系,トーン:light,bright,pale夏・・・色相:青,青紫系,トーン:vivid, bright秋・・・色相:暖色系,トーンは,dark,deep, dul, soft冬・・・色相:青紫系,紫系,トーン:dark grayish,grayish, light grayish施設内で,季節ごとに季節感のある色彩を用いることにより,色から自然へのイメージが広がり,心地よい空間が演出でき,利用者への心理的効果は大きいものと考える.