著者
國澤 尚子 徳田 哲男 新田 収 前川 佳史 植竹 篤志 桑原 邦寿
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.13-21, 2003
被引用文献数
1

本研究は、車いすを必要とする要介護者およびその介護者が行動しやすい居住空間の広さや備品の配置などについて提案することを目的とする。本稿では、車いすの回旋動作およびベッド・車いす間の移乗動作から、最適な居室のスペースとベッドの高さについて検討した。要介護者、介護者の内観報告をもとに分析した結果、X軸方向、Y軸方向の推奨幅から算出された床面積は9.40m^2であった。これは従来の特別養護老人ホームでの1人あたりの居室面積に近い値であるが、私物が配置された居室の中で車いすを使用しながら生活するためには、さらに広いスペースが必要であろう。また、移乗介助に適したベッド高の推奨値は47.9cmであり、この値は要介護者がベッドの高さに対して「不安を感じない」高さにほぼ一致した。さらに、筋電図を用いて介護者の身体負担を評価した結果、ベッドに臥床している要介護者を抱き起こして座位にするときと、車いすから立位にさせるときに筋負担が大きいことが示唆された。