- 著者
-
椎貝 達夫
桑名 仁
神田 英一郎
前田 益孝
- 出版者
- 一般社団法人 日本農村医学会
- 雑誌
- 日農医学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, pp.114, 2005
<B>目的</B>:進行性腎不全(PRF)の治療は世界の腎不全対策を考えるとき、きわめて重要である。前医での腎不全進行速度がわかっているPRF60例について治療成績をまとめた。<BR><B>方法</B>:対象は前医での進行速度がScrの経時的変化からわかっている60例のPRFで、男42人、女18人、年齢58.2±14.7歳、原疾患は多発性のう胞腎以外の非糖尿病性腎症(NDN)57例、糖尿病性腎症3例である。<BR> 当院診療開始時のScr3.60±1.80mg/dl、Ccr26.3±16.0ml/minで、前医と当院での進行速度をScr<SUP>-1</SUP>・時間(月)勾配で求め比較した。当院の診療は24時間蓄尿による食事内容モニタリング、各種データの腎臓病手帳への記入・説明、家庭血圧測定によりプログラム化されている。<BR><B>結果</B>:図は60例のPRFの当院受診前と受診後の速度のちがいを示している。一番左は前に較べて進行速度が80%以上遅くなったグループで、31人(51.7%)がこのグループに属した。中央は進行速度の減少が前に較べて79%未満に止まったグループで、21人(35%)だった。一番右は当院受診後進行速度が前よりかえって速くなったグループで8人(13.3%)だった。<BR> 全体として、前医での治療が続けられていた場合、透析導入まで平均78.2か月を要するが、当院での治療で187.0か月となり、腎臓の寿命が2.4倍延長される。<BR><B>結論</B>:60例のPRFを対象とした交差法による検討で、従来の治療に比べ、腎臓寿命が全体として2.4倍延長された。今後当院が行っている治療法の全国への普及が必要である。