著者
敷地 孝法 野本 正志 大浦 一 桑名 隆一郎 中瀬 美穂
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.141-146, 1997-02-01 (Released:2011-01-14)
参考文献数
11

アクアチム®クリーム(ナジフロキサシン; 大塚製薬)はP. acnesに対し強力な抗菌作用を持ち耐性菌も出現しにくい製剤とされている。今回, 我々は尋常性ざ瘡の患者23例を対象にミノマイシン®とアクアチム®クリームを併用し, 治療対象部位の閉鎖性面皰, 開放性面皰, 丘疹, 膿疱に対する有用性について検討した。その結果, 本疾患に対するアクアチム®クリームとミノマイシン®併用療法とアクアチム®クリームとミノマイシン®短期併用療法は共に8割以上の全般改善が認められた。特にアクアチム®クリームとミノマイシン®短期併用療法はミノマイシン®を1週後に投与中止しているにも関わらず治療効果が減弱していなかった。すなわち尋常性ざ瘡の治療は内服剤が主と考えられているが, 経過観察を十分行えば外用剤での病状維持または治癒治療が可能とも考えられた。以上より尋常性ざ瘡に対しアクアチム®クリームは有効であり, 内服剤の減量が必要な場合にはアクアチム®クリームとミノマイシン®短期併用療法は試みるべき治療方法と考えられた。
著者
八谷 満 古山 隆司 福森 功 市戸 万丈 平田 晃 桑名 隆
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌 (ISSN:13421131)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.115-127, 2000-12-15
被引用文献数
4

繋ぎ飼い用搾乳ロボットシステムの開発に向けて、特にマニピュレータ機構の設計指針を得ることを目的として、ホルスタイン種泌乳牛111頭を供試して体尺測定調査を実施した。ロボットはストール後方より牛に接近して、牛体位置検出機構は牛体において変形量の少ない部位として坐骨端と左右の腰角を捕捉する。本機構に自動搾乳ユニットを搭載することによって、機械系の原点と牛体との水平面上での相対的位置関係をほぼ確定し、牛体の動きに追従して両者の位置関係を維持する。これを基本的な機械設計概念とする。その上で、牛体とロボット機械系双方の安全性を確保するために、ロボット作業環境内の四肢や乳房等の配置から干渉あるいは衝突の可能性の低い部分を抽出し、動作可能な空間領域をモデル的に示した。これを考慮した機械系, 特にロボットマニピュレータの関節構成と軌道生成を提案した。マニピュレータ機構は、平面的な位置決めと姿勢決めの回転自由度を各々2と1、これにティートカップ装着動作のための並進自由度1を加え、計4自由度の基本仕様で対応可能と判断された。マニピュレータの標準作業域は、牛体軸上の坐骨端からの距離380mmの点を中心とする、350×350mm区画が4乳頭の散在する領域である。この領域においては、エンドエフェクタを有する第3アームを常に牛体軸に平行な姿勢に制御することによって、後肢を回避しながら、狭降な後肢内側空間においてテイートカップのマニピュレーションが可能であると推察された。マニピュレータ機構をモデル的に単純化して、位置制御するための関節変数ベクトルを求める逆運動学問題の解を示した。X-Y平面内での運動特性を考慮して、第1、第2および第3アームリンク長をそれぞれ400mm、350mmおよび200mmと設定した。また、マニピュレータ台座の適正な位置をX、Y座標それぞれ580mm、520mmと設定した。日本家畜管理学会誌、36(3)115-127、2000 1999年4月12日受付2000年9月1日受理