著者
桑木 共之 高橋 重成 森 泰生 大塚 曜一郎 柏谷 英樹 戌亥 啓一 陳 昌平 黒木 千晴 米満 亨 上村 裕一
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

Transient Receptor Potential (TRP)イオンチャネルの1つであるTRPA1チャネルが環境ガス中に含まれる低酸素および有害物質のセンサーとして働き、これらを体内に取り込んでしまう前に忌避行動、覚醒や呼吸変化を引き起こす早期警告系として役立っているのではないかという仮説を検証した。仮説は実証され、しかも鼻腔内の三叉神経に存在するTRPA1が重要であることが明らかになった。
著者
桑木 共之
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.157-164, 2020 (Released:2020-10-16)
参考文献数
22

ストレス防衛反応とは,敵などのストレッサーに遭遇した時に闘争逃走行動を効果的に行う為に,血圧・心拍数・呼吸数を上昇させ,筋血流を増やして当面不必要な内臓血流は減少させるという反応である.これらの反応は無意識の領域を司る自律神経系の働きによって実現されており,これが上手く働かないと生命の危機に直面することにもなりかねない.防衛反応の表出に際し,視床下部の防衛領域が一斉にそのスイッチを入れる重要な部位であることが20世紀中頃には既に知られていた.しなしながら,その詳細が明らかになったのは比較的最近である.この神経回路メカニズムの解明を目的とした我々の研究成果を解説する.視床下部に存在するオレキシン産生神経細胞がその主役であり,またオレキシン産生神経細胞は睡眠覚醒を司る神経でもあった.すなわち,意識にのぼる活動を制御する神経メカニズムと無意識の領域との接点が明らかになった.
著者
桑木 共之 山中 章弘 李 智 礒道 拓人 山下 哲 大塚 曜一郎 柏谷 英樹 宮田 紘平 田代 章悟 山口 蘭 石川 そでみ 桜井 武 加治屋 勝子 上村 裕一 二木 貴弘 Khairunnisa Novita Ikbar 有田 和徳 垣花 泰之
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

快情動は疾病予防や健康増進に有益であることが経験的に知られている。その脳内神経回路を明らかにすることによって、経験則に生物学的エビデンスを付与することが本研究の目的であった。快情動によってカタプレキシーを引き起こすことが知られているオレキシン欠損マウスを用い、カタプレキシー発作直前または同時に活性化される脳部位を網羅的に探索したところ、側坐核の活性化が顕著であることが明らかになった。今まで不明であった快情動を研究する際のターゲットとなる脳部位を絞り込むことができたが、健康増進との関連解明にまでは至らなかった。