- 著者
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足立 孝
櫻庭 幹
村杉 雅秀
宮野 裕
桑田 裕美
池田 豊秀
大貫 恭正
- 出版者
- 特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
- 雑誌
- 日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, no.7, pp.779-783, 2002-11-15
- 被引用文献数
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5
4
縦隔発生のparagangliomaは比較的稀な疾患である.われわれは縦隔原発で,術前に集学的治療を行ったparagangliomaの1例を経験したので報告する.症例は56歳,女性.胸部違和感とともに咳嗽出現し,他医で検査を受けたところ縦隔腫瘍を指摘され当科紹介となる.胸部CTで中縦隔から前縦隔にかけて7×6cmの血管に富む腫瘍を認め,腫瘍生検でparagangliomaの診断を得た.腫瘍の解剖学的位置関係から放射線治療を行い腫瘍縮小効果を得たところで,腫瘍血管に対しプラチナコイルで血管塞栓術を追加した.手術では腫瘍の血管壁よりの剥離は困難で臨床的にはmalignant potentialであると判断し,結果として完全摘出に至らなかった.組織学所見で明らかな悪性所見はなく最終的にもparagangliomaと診断された.paragangliomaに対しては腫瘍摘出術以外に確立された治療法はなく,本症例では遺残腫瘍の今後の動向を観察する必要がある.