著者
野ッ俣 和夫 山崎 忠男 伊藤 慎芳 桜井 幸弘 多賀須 幸男 安部 孝 池上 文詔 奥平 剛史 山口 和克
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.879-883, 1991

症例は81歳,男.東京都在住の飲食業者.1989年3月下旬からの発熱が軽快した後,食思不振と黄疸が増強し同年4月25日入院.眼球血膜の充血,著明な胆汁うっ滞型黄疸,腎機能不全,蛋白尿・血尿を認め,ネズミとの接触があったためWeil病を疑い抗生剤投与を開始した.第4病日より意識障害が出現し,第6病日に突然心室細動・粗動が出現した.5月に入り徐々に軽快し,第43病日肝生検施行.小葉中心性の胆汁うっ滞像と巣状壊死が見られたが,肝細胞の解離やWarthin-Starry染色によるレプトスピラ菌の直接証明は出来なかった.また,血・尿中レプトスピラ菌培養は陰性であったが,ペア血清顕微鏡的レプトスピラ生菌凝集反応でserovar icterohaemorrhagiaeとserovar copenhageniの抗体の上昇が見られたためWeil病と診断した.その後著変なく第48病日に退院した.Weil病に重篤な不整脈を初めとした合併症を伴ったが救命し得た.
著者
原田 康司 南雲 久美子 山崎 忠男 野ツ俣 和夫 伊藤 慎芳 土谷 春仁 桜井 幸弘 池上 文詔 多賀須 幸男
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.257-263, 1991-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
16

上部消化管粘膜には,細血管が限局性に集籏拡張したAngiodysplasiaがときどき見られる.2年間に施行したPanendoscopy延べ10,163例で認め/れたAngiodysplasia230例を対象に検討した. その頻度は2.26~3.98%,男性に有意に多く,加齢とともに頻度は増加する.単発81.3%,多発18.7%であった.少数が食道・十二指腸に存在したが,98%は胃にあり,胃A・M領域に多くC領域に少ない.血液のstealによると思われる白暈を周辺に持つ「日の丸型」は43.4%,持たない「赤丸型」は56.6%であった. 顕出血例はなく,出血の危険は少ないと思われる.特定の疾患との関連は確認出来なかった.Angiodysplasiaと紛らわしい形態の早期胃癌2例に遭遇した.