著者
三輪 清三 上野 高次 桜井 稔 小林 章男 鈴木 重一
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
日本傳染病學會雜誌 (ISSN:00214817)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.10-20, 1964-04-20 (Released:2011-11-25)
参考文献数
32

Tularemia in Izu Peninsula in Shizuoka Prefecture was investigated epidemiologically and1. All the tularemia cases collected by us occurred locally in the southern parts of Izu Peninsula; 25 cases in Minamiizumachi of them 20 cases infected each by separate hares, 7 cases in Shimoda-machi 6 infected each by separate hares, and 1 case in Matsuzaki machi.2. Among these cases, the first case occurred in 1932 and the majority of cases occurred in 1949. Thereafter occurrences of a few cases continued to 1962.3. Most cases occurred from December to March.4. Almost all the cases were infected from skinning and processing the meat of hares found dead or weak.5. The rate of inapparent infection of hunters group in each region in Izu area was as follows; South coast of the Peninsula 20.2%, Central part 19.4%, West coast 9.7%, and North part 8.3%, paralleing the number of the tularemia cases in each region of Izu Peninsula.6. In retrospect, agglutination test that is positive above 1: 32 was advisable for the diagnosis.7. Characteristics of the prevalence of tularemia in Japan was discussed.
著者
村田 晃 辻正 信 添田 栄一 猿野 琳次郎 桜井 稔三
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.35-44, 1972

<i>L. casei</i>のJ1ファージの増殖機構究明の一手段として,宿主菌のDNA合成を特異的に阻害するマイトマイシンCを阻害剤として用い,この阻害剤のファージ増殖阻害の機作について研究した.まず,マイトマイシンCが, J1ファージの増殖を阻害することを確認した.マイトマイシンCは,遊離ファージを不活性化せず,吸着, DNA注入も阻害しなかった.一方,マイトマイシンC存在下で,ファージDNAの複製, serum-blocking powerを有するファージタンパク質,ファージエンドリジンの合成はみられなかった.放射線生物学的研究,およびマイトマイシンC・パルス実験は,初期の増殖段階がマイトマイシンCにより阻害されることを示した.<br>以上およびその他の実験結果,ならびにマイトマイシンCの一般知見とから,マイトマイシンCのJ1ファージ増殖阻害の機作は,菌細胞内に注入されたファージDNAが,マイトマイシンCの作用を被り,分子内にクロスリンクを形成することに基づくもので,このために子ファージDNA複製のプライマーとしての活性を喪失し,ファージDNAの複製がブロックされるためと考えられた.<br>なお,比較的低濃度のマイトマイシンCを<i>L. casei</i>S-1菌株に作用させると,処理一定時間後に溶菌が誘起されることが示された.電子顕微鏡観察は,溶菌液中にファージ粒子の存在することを示した.さらに,この粒子の感染性も,プラークを形成する感受性菌株を見い出し証明した.これらの結果は, L. casei S-1菌株は溶原菌であることを示し,また溶菌誘起はファージの増殖が,マイトマイシンCによって誘発されたためであることを示した.