著者
冨岡 和子 梁 善雅 遠藤 金次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.11-16, 1993-01-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2

代表的な食肉および魚肉の加熱調理過程でのイノシン酸の量的変化に及ぼす昇温速度および食塩とショ糖の添加の影響について検討した。その結果は次のように要約できる.1) 急速 (7.5℃/min) または緩慢 (0.8℃/min) に昇温加熱した場合, 肉中のイノシン酸の分解率は肉の種類によって異なるだけでなく, 加熱速度依存性を示す両加熱速度におけるイノシン酸分解率の比も肉の種類によって異なった.2) 加熱過程での肉中のイノシン酸分解率と肉中のイノシン酸分解酵素活性との間に正の相関関係の存在することが認められた.3) 加熱過程での肉中のイノシン酸分解の加熱速度依存性と肉中のイノシン酸分解酵素の変性温度との間に正の相関関係の存在することが認められた.4) イノシン酸の分解はショ糖の濃度にほぼ比例して抑制されたが, 食塩の影響は肉の種類によって異なるだけでなく, 切り身のままとそれをすり潰したものとの間で異なった.